本研究では、国内で2010年より急速に増加している脳死ドナーからの臓器活用拡大を目指し、効果的な小腸虚血再灌流障害の治療法を開発するべく、各種炎症性疾患で治療標的として注目されている核内タンパクHigh mobility group box-1 (以下HMGB-1)に着目し、遺伝子治療、細胞移植、体外循環治療などの特殊技術に絡め、研究・開発を目的とした。 Adex-BoxAの導入、タンパク発現等機能確認するためにAdex-BoxAから産生されたBoxAタンパクをラット(Wistar系雄性)門脈内に投与し、肝臓への導入を行い、BoxAタンパクの産生を確認した。次にHMGB-1 BoxA産生肝細胞を体外循環型バイオリアクターへの埋め込みを行うべく、HMGB-1 BoxA産生肝細胞を作成した。現時点では体外循環型バイオリアクターへの埋め込みは完遂できていないが、今後も実験を継続する予定である。 また、ラット小腸虚血再灌流障害に対するHMGB-1 BoxA遺伝子導入治療効果の検討を行うべく、ラット小腸虚血再灌流障害モデルを作成した。実際にラット小腸虚血再灌流障害モデルにAdex-BoxAを投与していないが、Adex-BoxAはすでに生成しているため、門脈に投与するのみとなっている。さらに、ラット小腸虚血再灌流傷害モデルにおけるHMGB-1 BoxA産生細胞移植の効果の検討、ラット小腸虚血再灌流障害モデルにおけるHMGB-1 BoxA産生リアクター治療効果の検討、ラット小腸虚血再灌流障害に対するHMGB-1吸着カラムを用いた体外循環治療効果の検討を今後の課題として実験を継続する。
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