研究概要 |
(1)我々の研究グループでは、MMRの機能を知る為に、MMR遺伝子をin vivoで欠損させた場合の移植免疫への影響や、生理的な役割を知ることを目的として、遺伝的背景がC57BL/6近交系マウスと同一のMMR2遺伝子破壊マウスを、MMR2遺伝子破壊マウス(129sv×C57BL/6系統)に対してC57BL/6近交系マウスとの10世代の戻し交配により樹立した。平成23年度は、このMMR2遺伝子破壊マウスへ移植免疫への影響を知る為に、移植片としてマウス皮膚(H-2Kd Tgマウス・C3H近交系マウス)の移植を用いて検討した。結果、コントロールのC3H近交系マウス皮膚の移植に対し拒絶が見られ、H-2Kd Tgマウス皮膚に対して生着が認められた。(2)我々のグループにおいて、非自己MHCのH-2Ddへの結合能を持つマウスMMR1、またマウスMMRのヒトホモログとして単離されたヒトMMR1 のcDNAを単離した。ヒトMMR1のリガンドは未同定であることから、ヒトMMR1のリガンドについて探索を試みた。ヒトMMR1をタンパクとしてHEK293T細胞に強制発現させ、ビーズに固定したHLAタンパクとインキュベートしフローサイトメーターで解析することにより、80種類のHLA-A,B,Cとの結合試験を行った。結果、(1)この受容体分子のリガンドHLAの1つがHLA-B44であること、(2)10の-9乗 [M]程度と強い結合能を持つことが示唆され、ヒトMMR1が、マウスMMRと同様にMHCに対する結合能を持つことが示された。現在、これらの成果を英論文として学術雑誌に投稿を準備中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額の137,290円については、平成23年度に予定をしていた「遺伝子ノックアウトマウスに関する計画」内の、MMR2遺伝子破壊マウスを用いた皮膚移植による移植免疫への検討において、若干遅延が生じたため、平成24年度の研究計画に組み込まれた「実験系1(1)」(推進方策欄)に使用を予定している。また、平成24年度研究費の使用予定額については、「実験系1(2)、実験系2(1)・(2)」(推進方策欄)の計画に対して交付申請書の通りに予定しており、内訳は、物品費として700,000円(細胞生物学実験の試薬消耗品・器具類・研究関連消耗品に300,000円、分子生物学実験の試薬消耗品・器具類・研究関連消耗品に350,000円、実験動物やその関連消耗品等に50,000円)、学会旅費として50,000円、その他(印刷費・研究成果投稿料等)として50,000円を予定している。
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