研究課題
潰瘍性大腸炎および家族性大腸腺腫症の手術治療は、自然肛門を温存する大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術が標準術式となっているが、本術式の合併症として回腸嚢炎が知られている。回腸嚢炎は、術後の排便状況に直結する要因の一つであり、QOLを左右する重要な要素となっている。回腸嚢炎の原因はいまだはっきりしておらず、これらの病態の解明が、両疾患そのものの病態の解明につながる可能性を秘めている。本研究を通じて、将来的に症例のQOLの改善につながることはもとより、原因不明である潰瘍性大腸炎の病因の解明につながることを期待できると考えている。今年度は、昨年度までに臨床検体を採集した潰瘍性大腸炎10例、家族性大腸腺腫症2例に対して、経時的変化を追っていたが、回腸嚢炎を発症した症例を認めなかった。そのため、回腸嚢炎を発症した時期の臨床検体を採取することが出来なかった。そこで、コントロールとしての正常小腸粘膜と正常大腸粘膜の遺伝子発現プロファイルの作成をまずおこなうこととした。大腸癌症例で右結腸切除術を施行した患者において、小腸粘膜と大腸粘膜を採取し、mRNAを抽出の後、マイクロアレイにて解析をおこなった。動物モデルを用いた検討としては、回腸間置マウスを4頭、Shamマウスを3頭作成した。しかしながら、回腸間置マウスは、術後1週間以内に全頭死亡しており、DSS腸炎発症までの検討までには至らなかった。体重の経時的変化は、Sham群と比べて回腸間置マウス群で体重減少していた。
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Journal of Gastroenterology
巻: 49 ページ: 231-238
10.1007/s00535-013-0797-y
外科
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