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2012 年度 実施状況報告書

遺伝子不安定性陽性膵癌のフレームシフト変異由来ペプチドに対する免疫応答

研究課題

研究課題/領域番号 23791515
研究機関東北大学

研究代表者

岡田 恭穂  東北大学, 大学病院, 助教 (10375074)

キーワード通常型膵癌 / マイクロサテライト不安定性
研究概要

2010年12月以降の膵切除症例を起点に通常型膵癌症例を抽出した。平成23年度は40例のMSI解析を行った。平成24年度は引き続き研究母集団を拡大、さらに60例の解析を進めた。当科で切除された通常型膵癌患者検体のうち、60例でマイクロサテライト解析に必要と思われる癌部分・正常(膵)組織部分について、病理診断に使用した以外のパラフィン包埋組織を入手して薄切切片を作成した。癌細胞及び正常細胞それぞれの切片からDNA抽出キットを使用してDNAを抽出し精製した。23年度と同様過去文献から推奨される解析のための5種類のマイクロサテライト領域(MSIマーカー:BAT25, BAT26, D17S250, D2S123, D5S346)プライマーを作成し上記で得られたDNAを鋳型としてPCR法で増幅した。それらをオートシークエンサーで解析し遺伝子配列の同定とピークパターンを比較してマイクロサテライト不安定性の陽陰性を判定した。判定基準は陽性マーカー数がMSS(MS stable)が0、MSI-L(MSI-Low)が1、MSI-H(MSI-High)が2以上、である。結果は60例の解析で全てが安定(MSS)でありマイクロサテライト不安定性を示す例はこの中には存在しなかった。MSI陽性膵癌は全体の5-10%存在するとされるが、現時点まででMSI陽性膵癌は検出されていない。
なお、本研究においては、解析に使用した症例の病歴、検査所見、画像所見、病理所見などをデータベース化する作業も進めており、「予後良好な膵癌」との本研究の目的に合致して、早期膵癌(PanIN)の症例を臨床データとして解析しつつある。これに関しても解析を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2010年12月を起点として通常型膵癌切除例を抽出した。また研究期間内に新たに膵切除術によって得られた標本を検討し、通常型膵癌例であればパラフィン切片から癌部分と正常部分を抽出した。平成23年度は40例を解析し、24年度は60例を解析した。癌部分・正常部分のパラフィン切片を薄切し、DNAを抽出して5種類のマイクロサテライトマーカーに対してPCR法で増幅、正常部と癌部分でピークパターンを比較した(委託)。結果は60例中全例がマイクロサテライト不安定性を示さない判定(MS stable)であった。マイクロサテライト不安定性解析は目標症例数に達したが、MSI陽性例が(確率的には低い:5-10%)抽出されなかったため、その後の解析には未だ至っていない。なお、膵癌組織病理検索過程で、稀な早期膵癌(PanIN-3)切除例が存在し、それは当研究の主たる目的の一つである「予後良好な膵癌」のカテゴリーに入るため当該研究で派生させて検討を加えた。

今後の研究の推進方策

MSI陽性膵癌は全体の5-10%とされているが、当科の通常型膵癌症例を検索した限りでは現時点まででMSI陽性症例は確認されなかった。検索方法の再検討をしつつ、MSI陽性膵癌を検出できるよう追加検索を行う方針で臨みたい。また、膵癌症例の病理学的検索の過程で、派生的に稀な早期膵癌(PanIN)切除症例が発見された。それらは本研究の主目的の一つである「予後良好な膵癌」のカテゴリーに入るので、独立させて解析し、研究成果の一つとしたいと考えている。MSI陽性例が発見された場合は前回と同様以下の通り:(1)MSI陽性膵癌組織での免疫担当細胞の反応性、及びフレームシフト変異由来ペプチドに対する細胞障害性T細胞の誘導を試みる(2)膵癌組織に対するTILの評価:プレパラートを抗CD3マウスモノクローナル抗体で染色しT細胞の計測、MSI陽性膵癌群と同陰性膵癌群におけるT細胞浸潤レベルの差異を検証、抗CD4, CD8抗体等での同様な染色も行いT細胞サブセットの動態も検討する。(3)MSI陽性・陰性膵癌患者から採取した末梢血単核球を分離し、患者樹状細胞のFACS解析による表面抗原の同定を行う。(4)コンピュータソフトによるフレームシフト変異由来エピトープペプチドの予測と合成:MSI陽性癌で多い塩基繰り返し配列(にて人為的に1塩基あるいは2塩基フレームシフト変異させたHLA-A2, A24に特異的なコンセンサス配列をコンピュータにて予測する(5)細胞障害性T細胞(Cytotoxic T lymphocytes: CTL)の誘導:分離PBMC を上記合成フレームシフト変異由来合成ペプチドで刺激後,IL-7存在下で培養しresponder 細胞とする。同様にペプチド刺激した自己PBMCからstimulator 細胞を作成、共培養してCTLを誘導する。CTLの腫瘍細胞に対する細胞障害活性を解析する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 膵体尾部切除に対するクリニカルパス2012

    • 著者名/発表者名
      岡田恭穂、江川新一、海野倫明
    • 雑誌名

      胆と膵

      巻: 33 ページ: 771-776

  • [学会発表] IPMN初回手術時の残膵・膵断端の所見と残膵局所再発との関連について2012

    • 著者名/発表者名
      岡田恭穂、江川新一、乙供茂、元井冬彦、水間正道、林洋毅、中川圭、青木豪、深瀬耕二、大塚英郎、坂田直昭、吉田寛、内藤剛、片寄友、海野倫明
    • 学会等名
      第74回日本臨床外科学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20121129-20121201
  • [学会発表] ERASプロトコールを導入した膵頭十二指腸切除(PD)クリニカルパス使用による一貫したPD周術期栄養管理の効果2012

    • 著者名/発表者名
      岡田恭穂、吉田寛、海野倫明
    • 学会等名
      第20回日本消化器関連学会週間
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20121011-20121013
  • [学会発表] 慢性膵炎手術に対するクリニカルバス適用の取り組み2012

    • 著者名/発表者名
      岡田恭穂、元井冬彦、乙供茂、坂田直昭、吉田寛、林洋毅、力山敏樹、片寄友、江川新一、海野倫明
    • 学会等名
      第67回日本消化器外科学会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20120718-20120720
  • [学会発表] 膵癌根治手術術前検査としてのFDG- PET検査の重要性2012

    • 著者名/発表者名
      岡田恭穂、元井冬彦、乙供茂、水間正道、中川圭、林洋毅、石田晶玄、深瀬耕二、大塚英郎、坂田直昭、森川孝則、小野川徹、吉田寛、内藤剛、力山敏樹、片寄友、江川新一、海野倫明
    • 学会等名
      第43回日本膵臓学会大会
    • 発表場所
      山形
    • 年月日
      20120628-20120629
  • [学会発表] IPMNの手術治療方針:特に腫瘍本体の性状・膵断端の所見と残膵局所再発との関連について2012

    • 著者名/発表者名
      岡田恭穂、江川新一、乙供茂、元井冬彦、林洋毅、中川圭、水間正道、石田晶玄、深瀬耕二、坂田直昭、大塚英郎、森川孝則、小野川徹、吉田寛、内藤剛、力山敏樹、片寄友、海野倫明
    • 学会等名
      第24回日本肝胆膵外科学会・学術集会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20120530-20120601

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公開日: 2014-07-24  

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