高度障害肝ではPin1発現が低下するため、MIP-2発現は増強するにも拘らず、NF-kappaB活性は低下し、肝再生が抑制された。しかし、軽度障害肝ではPin1発現が維持されるため、MIP-2発現増強に伴いNF-kappaB活性は亢進し、肝切除後の肝再生が促進した。In vitroでも、正常肝細胞と比べて軽度障害肝細胞ではPin1発現は維持され、MIP-2刺激により肝細胞増殖シグナルは促進するが、高度障害肝細胞ではPin1発現低下に伴いNF-kappaB活性は抑制され、肝細胞増殖シグナルも抑制された。これより、術後障害肝の肝再生抑制にはPin1発現低下に伴うNF-kappaB活性抑制が関与することが示された。よって、術後の肝細胞内Pin1発現の維持が、術後肝再生抑制に伴う肝不全に対する有用な治療法となり得る。
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