研究課題/領域番号 |
23791522
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
平松 良浩 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00397390)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 手術ナビゲーション / 外科学 |
研究概要 |
外科手術治療は、新規技術開発により確実な進歩を遂げてきた。放射線を用いた画像技術の開発・進歩により、詳細な術前診断や手術シミュレーションが可能となり、手術の角度および安全性も向上してきた。しかしながら、術中偶発症や術後合併症、悪性腫瘍の根治性などにおいて、いまだ十分に満足できる成績は得られていない。当該研究は、近年急速に進歩している光技術を用いた術中手術支援法を発展させ、より普遍的かつ実用的な新規技術を開発することで手術の質の進歩を目的とするものである。 まず、ICG蛍光造影法を用いた術中血流評価やNBI(Narrow Band Imaging)を利用した腹腔鏡観察などによる手術支援技術の臨床応用を行い、成績について評価し結果について別紙の通り学会において発表した。これらの光イメージング技術の使用成績および結果をもとに、現在改良点について検討中である。 また、基礎的なデータ収集のための実験として、動物臓器を用いた予備実験と実験動物を用いた実験を行った。この結果からICG蛍光造影法で描出可能な深部限界、有用な蛍光色素、検出障害の原因となり得る組織とその特性などについての基礎データを収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ICG蛍光造影法の改良を試みるために基礎データ収集を行ったところ、理論的には蛍光の透過を妨げないはずの光特性を有する物質が光を通さなかったり、自然蛍光や散乱光により蛍光コントラストが著しく減弱したりした。これらの原因の解析および改良方法の検討に想定以上に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行った実験によって得られた基礎データの解析をさらにすすめ、ICG蛍光造影法の改良を目指す。至適なレーザー照射光の波長や照射方法、検出器の種類や検出方法、検出されたデータの解析法や演算法などについて検討する。またICG以外の蛍光増感物質の探索をすすめるとともに、ICGなどの蛍光増感を必要としない深部光情報の検出法および解析法の確立を目指す。検出器の精度を高めることで組織深部から届く微弱な信号を検出し、同時に表層の蛍光信号を検出することでサブトラクション法による深部の信号強度の増強をはかる。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続きICG蛍光造影の特性を把握するための実験を行う。このために動物臓器や実験動物を用いた実験が必要であり、この実験に使用する資材や機材を購入する。光情報映像化技術を利用した癌の存在範囲診断のために、癌診断のためのバイオマーカーが必要であり、その探索のために網羅的解析やin silicoでの解析を行い、候補バイオマーカーの同定と検証を目指す。このために実験試薬や実験器具の購入を必要とする。また、情報収集や研究成果報告のために国内外の学会への参加を予定している。
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