外科手術治療は、新規技術開発により確実な進歩を遂げてきた。放射線を用いた画像技術の開発・進歩により、詳細な術前診断や手術シミュレーションが可能となり、手術の角度および安全性も向上してきた。しかしながら、術中偶発症や術後合併症、悪性腫瘍の根治性などにおいて、いまだ十分に満足できる成績は得られていない。当該研究は、近年急速に進歩している光技術を用いた術中手術支援法を発展させ、より普遍的かつ実用的な新規技術を開発することで手術の質の進歩を目的とするものである。 まず、ICG蛍光造影法を用いた術中血流評価やNBI(Narrow Band Imaging)を利用した腹腔鏡観察などによる手術支援技術の臨床応用 を行い、成績について評価し結果について別紙の通り学会において発表した。これらの光イメージング技術の使用成績および結果をも とに、現在さらなる改良点について検討中である。 また、基礎的なデータ収集のための実験として、動物臓器を用いた予備実験と実験動物を用いた実験を行った。この結果からICG蛍 光造影法で描出可能な深部限界、有用な蛍光色素、検出障害の原因となり得る組織とその特性などについての基礎データを収集することができた。さらに、手術前に間腔臓器内にマーキング用に留置するクリップにICG含有樹脂を塗布することで、術中に臓器外側からの病変位置情報の可視化が可能となる基礎データを収集し得た。今後、実用化に向けて研究を継続して行く予定である。
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