研究課題/領域番号 |
23791537
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山田 眞一郎 徳島大学, 大学病院, 医員 (30579884)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 膵・胆管合流異常 / 胆道癌 / Dibutyltin chloride |
研究概要 |
【背景・目的】膵・胆管合流異常は胆道癌を高率に発症することが知られている。我々は、胆道拡張症と類似の病態を示すDBTC投与ラットを用いて、胆道癌発癌モデルの確立および発癌プロセスを明確にすることとした。【方法・結果】1. HDAC阻害における胆管癌抑制効果の検討(in vitro):胆管癌細胞株(HuCCT1)を使用。HDAC阻害剤と抗癌剤(GEM)を投与することにより、抗癌剤単剤投与に比べ細胞のviabilityは有意に抑制された。2. DBTC投与による膵胆管合流異常モデルの作成:6週齢Lewisラットを用い、Dibutyltin chloride(DBTC)8mg/kgを尾静脈から単回投与し、2週後に胆管組織を採取。膵液を混和した胆汁のうっ滞(アミラーゼ高値を確認)、胆管上皮の乳頭状増殖を認めた。さらに組織のHDACやCOX2の免疫染色を行い、発現の増強を確認。Adenoma-carcinoma sequenceの初期像を見ている可能性が考えられた。3. DBTC長期投与における胆道癌発癌モデルの作成:上記の結果を受け、DBTC反復投与(2週間毎)を行うことにより発癌モデル作成を予定している。4. 当科で分流手術を施行した膵・胆管合流異常症13症例(拡張型10例、非拡張型3例)を対象、悪性腫瘍を除く膵頭十二指腸切除術症例4例をコントロールとし、発癌に関与するHDACの発現を検討した。拡張型・非拡張型を問わずHDACが胆道上皮において高発現しており、胆道癌発癌のポテンシャルを有する可能性があると考えられた。【今後の予定】DBTCの連続投与を行うため、大腿静脈への投与、投与量の減量を試みている。またN-nitrosobis(2-oxopropyl)amine(BOT)をDBTCと同時に投与することで発癌モデルの作成を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DBTCを尾静脈や陰茎背静脈へ投与することにより静脈が壊死を起こし、同一箇所への複数回投与が困難であること、さらに8mg/kgの連続投与により大部分のラットが死亡することから、発癌モデルの確認は現在できていない。
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今後の研究の推進方策 |
DBTCの連続投与を行うため、大腿静脈への投与、投与量の減量を試みている。またハムスター胆管結紮モデルにN-nitrosobis(2-oxopropyl)amine(BOT)を皮下注することにより胆管癌が発生するという報告があり(carcinogenesis, 2005)、DBTC投与と同時にBOTを皮下注することで発癌モデルの作成を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は繰越し(48,995円)を加えた研究費で、実験動物、消耗品等を購入し実験を進め、マイクロアレイ解析を行い、発癌モデルの作成する予定である。
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