研究概要 |
ラットにdibutyltin dichloride (DBTC)を投与することにより胆道拡張症モデルラットを作成し、膵・胆管合流異常症における発癌メカニズムについて明らかにする。 1.胆管癌細胞株(HuCCT) 5×103個にHDAC阻害剤であるバルプロ酸 (0.5、1.0、5.0、10mM)を添加すると、濃度依存性に増殖抑制効果を認めた。また癌細胞のHDAC発現をRT-PCRで測定したところ、controlに比べ有意に低下しており、胆管癌細胞の増殖抑制にHDAC発現が関与していることが示唆された。 2. Lewis 6週齢雄性ラットにDBTC8mg/kgを尾静脈または陰茎背静脈から投与することにより、血清ALP、T-BilはDBTC投与群で経時的に上昇しており、胆汁うっ滞が進行していた。肝外胆管は3日目より拡張を認め、組織学的に上皮の乳頭上増殖を認めたが、28日目には軽減していた。また免疫組織学的染色では、DBTC投与後、経時的にKI67, HDAC, COX2の発現増強を認めた。発癌モデルを作成し長期的に観察するためDBTCを2週間毎に複数回投与したが、2回目の投与でほぼすべてのラットが死亡し、投与量を半分に減量すると乳頭上増殖が確認できないなど投与量の設定に苦慮し、また一度投与を行った静脈は壊死するため頻回投与は難しいと考えられた。そこでbulb/c マウスを使用し、外科的に乳頭結紮、胆嚢十二指腸瘻を作成することで合流異常モデルを作成することを試みている。モデル確立の後、経時的に胆管組織を採取することにより、発癌メカニズムにつき検討する予定である。
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