研究課題/領域番号 |
23791543
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江上 拓哉 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (40507787)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 膵癌 / アデノウイルス / Drug Delibery System |
研究概要 |
本研究の目的は、アデノウイルスの細胞内侵入に関わる因子を同定し、アデノウイルスの細胞内侵入を模倣した薬剤内包型新規機能化人工ウイルスを作成し、その効率的癌細胞内導入方法を新規に開発することである。本年度我々は以下1.- 2.について研究した。1. 膵癌におけるendocytosis経路の解明:アデノウイルスの細胞表面への接着に関わるCoxackie virus and adenovirus receptor (CAR)、アデノウイルスのエンドソームへの移行とそこからの脱出に関わるintegrin αv, integrin β3, integrin β5, dynamin 2の膵癌における発現状況とアデノウイルス導入遺伝子の発現との関係を検討した。その結果、integrin β3がintegrin β5と比較し著しく高発現した膵癌ではアデノウイルス導入遺伝子の発現が低下していることが分かった。さらに、integrin β3をsiRNAを用いて抑制しその効果を評価した結果、siRNAによりintegrin β3の発現を抑制した膵癌細胞では、アデノウイルス導入遺伝子の発現が高くなっているという結果が得られた。2. 抗癌剤内包人工ウイルスの作成:integrinに注目し、プロテアーゼシグナルによりintegrinβ3のsiRNAが放出されるように人工ウイルスを改変した。具体的には、独自に開発した古細菌Methanococcusjannaschiiが作るsmall heat shock proteinに由来するタンパク質ナノカプセルMj285(人工ウイルス)に、ゲムシタビン(GEM)及びintegrinβ3のsiRNAを内包させ、さらにアミド結合によるbioconjugationによりMUC1抗体を付加することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書作成時に記載した本年度の研究実施計画と比較して、おおむね順調に進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度作成した新規人工ウイルスの膵癌細胞への集積率、治療効果をin vitro、in vivoにおいて検証する。新規人工ウイルスによる膵癌細胞内への導入効率の改善が不十分であれば、 エンドサイトーシスエスケープに大きな影響を与える他の分子候補をターゲットとしたsiRNAを内包した新規人工ウイルスを作成し膵癌細胞内への導入効率を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度作成した新規人工ウイルスの膵癌細胞への集積率、治療効果をin vitro、in vivoにおいて検証する。新規人工ウイルスによる膵癌細胞内への導入効率の改善が不十分であれば、 エンドサイトーシスエスケープに大きな影響を与える他の分子候補をターゲットとしたsiRNAを内包した新規人工ウイルスを作成し膵癌細胞内への導入効率を検証する。in vitro実験に伴うsiRNA試薬などの費用がかかる。得られた知見は欧米雑誌に投稿もしくは国際学会にて発表予定であり、それに伴う経費も計上する。
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