本研究は、肝硬変患者における、脾摘術門脈血栓症にメカニズムの解明を目的とした。脾摘後血栓形成(PVT)症例は、非血栓形成症例(nonPVT)に比べ、術前のプロトロンビン時間が長い傾向(p=0.0593)にあり、またアンチトロンビンIII(ATIII)は有意に低かった(p=0.0054)。PVT群では、nonPVT群に比べ、脾摘術後にATIII値は低値のままで回復が遅れ、術後7日目では有意に低下していた(p<0.05)。肝硬変患者における門脈血栓症は、脾摘術後に肝機能が回復せずに過凝固の状態となったことが、門脈血栓形成の一因となっている可能性が示唆された
|