研究課題/領域番号 |
23791549
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
岡部 弘尚 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (40573621)
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キーワード | CAF(癌関連線維芽細胞) / 組織消化 |
研究概要 |
今研究の目的は癌関連線維芽細胞(CAF)をヒト胆管癌組織より分離し、同時に正常肝組織からNormal fibroblast(NF)を分離し、それらの特性を比較することで、CAFに特異的な治療標的を見つけることである。平成23年度の課題は症例数が少なく、組織分離の機会が非常に少なかったことと、組織消化が非常に難しいことであった。胆管癌腫瘍組織は「けしごむ」様の硬さを有し、RNAやDNA抽出においても肝細胞癌と比較してhomogenizeに時間を要する。症例数の制限もあるため、同じ腺癌である大腸癌組織も用いて検証を進めている。組織細切後、コラゲナーゼ(II、IV)・ヒアルロニダーゼ・DNase・gentlemacs dissociator(miltenyi)を用いて、適切な濃度条件・反応時間を検討しているが、もっとも大きな問題点として分離した細胞のほとんどがトリパンブルー陽性すなわち死細胞であり、消化のプロセスにおける細胞へのダメージが非常に大きいということである。コラーゲンディッシュに接着する細胞は現在のところ得られておらず、組織消化のプロトコールを確立する必要あると考えられる。一方、コラーゲンプレートの検証を行うため、進行膵癌患者より得た腹水を遠心し、ペレットを通常培養条件で培養すると上皮細胞と線維芽細胞の接着および増殖を認め初代培養が可能であった。従って、組織内のCAFを細胞に対するダメージをできるだけおさえた方法で分離できれば、培養可能と考えられる。また、同時にNFの分離を行う予定であるが、コラゲナーゼおよびMiltenyi消化消化専用チューブなど経費を要し、様々な条件を検討する必要があるため、もっとも困難かつ重要な腫瘍組織から挑戦している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
症例数が限られており、条件を試す機会が乏しい点および、固形癌の中でも胆管癌は特に弾性硬の性質を有し、組織消化・細胞分離が難しい。
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今後の研究の推進方策 |
肝腫瘍が切除されてから迅速にその細胞を分離する必要があると考えられ、当施設の特徴として、手術室・組織標本整理室・FACS解析を行う棟がすべて別に分かれており、切除されたタイミングから標本整理・腫瘍組織消化開始までの時間が少なくとも30分以上かかることが大きな壁である。非常に硬い組織の分離に関しては、様々な情報収集を行い、条件検討中であるが、マウス正常肝組織からのFibloblastの初代培養のプロトコールでは組織消化が全く通用しない。消化酵素のさらなる工夫が今後必要であると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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