研究課題/領域番号 |
23791560
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
徳永 千穂 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30451701)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / 放射光微小血管撮影法 / シアーストレス |
研究概要 |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、原発性ないし種々の疾患に伴って肺動脈圧が上昇する肺血管疾患である。増加した肺血流とshear stressが肺血管抵抗の増加を引き起こすことによって肺最小動脈のび慢性狭窄・閉塞を認めるが、そのメカニズムとしてshear stressによる血管内皮細胞障害の関与が考えられている。本研究は放射光微小血管撮影法を用いた肺動脈造影法を確立し、さらに肺動脈におけるshear stressの評価と血管内皮細胞障害の機序を解明すること目的としている。本年度はまず放射光微小血管撮影法を用いた肺動脈造影法を確立に主眼をおいて研究を行った。動脈―静脈シャントの増設によりラット肺高血流モデルを作成。その後全身麻酔下にラット上大静脈に24G静脈内留置針を留置し造影剤を注入し、高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設において放射光由来X線源と高感度HARP受像管、ハイビジョンシステム(NHK放送技術研究所提供)を用いて高感度放射光微小血管撮影を行った。この手法を用いることにより約100μmまでのラットの肺細動脈の造影が可能であり、高肺血流性肺高血圧症におけるshear stressと内皮細胞ストレスの相互関係の解明の一助になりうる有用な技術であると考えられた。さらに得られた肺細動脈血流動画から右主肺動脈、下葉上動脈及び胸膜下肺細動脈で造影された血管の造影剤濃度変化を解析し、主肺動脈-下葉上動脈(中枢側)及び下葉上動脈-胸膜下肺細動脈(末梢側)の血流速度を算出した。その結果高肺血流性肺高血圧症においては末梢肺動脈血流速度が上昇し、よりshear stressのかかる状態である事が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設における放射光由来X線源と高感度HARP受像管、ハイビジョンシステム(NHK放送技術研究所提供)を用いた高感度放射光微小血管撮影が可能となった。この結果は2011年度日本胸部外科学会学術総会およびアメリカ心臓病学会総会にて発表した。今後は、画像の空間的および時間的解像能の改善がより微小な血管の撮影と造影剤濃度の変化の解析に必要であると考えられ、次なる課題である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は得られた肺細動脈血流動画から、血管の造影剤濃度変化をImageJを使って解析したが、本年度はGray-val濃度変位測定ソフトを用いて新たな流量解析の手法の確立に重点を置く。また、肺高血圧症における末梢肺動脈血流速度及びshear stress上昇と肺動脈内膜肥厚との関連の解明のため、今後摘出したラット肺の凍結及びホルマリン包埋標本を用いて肺細動脈組織の構造変化とshear stressとの相互関係および血管内皮細胞シグナリングを調べる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度はGray-val濃度変位測定ソフトを用いて新たな流量解析の手法の確立に重点を置き研究を進める予定である。流量解析のためにはある定点の微小血管の濃度変化の追跡機能が必要でありソフトウェアの機能のアップグレードに使用する予定である。また血管内皮細胞シグナリングを調べるためのウェスタンブロッティングや免疫染色のための抗体および必要機器にも使用する予定である。
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