研究課題/領域番号 |
23791576
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
奥井 将之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30594494)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 凍結療法 |
研究概要 |
1.凍結範囲を可変できる凍結端子の開発についてブタモデルによる実験の結果、新規に作成した凍結端子においておおよそ予想された形状の凍結範囲がブタ肺内で作成されていることが想定されました。in vitroの実験結果では、凍結範囲をより大きな形状にするためには「繭」のような形にする方が良い一方で、その分アルゴンガスの消費が大きいというデメリットがあることがわかりました。2.大きな凍結範囲を得ることのできる凍結端子の開発について素材変更によってより大きな凍結範囲を得ることのできる凍結端子の開発を検討しましたが、素材はいくつか比較したもののほとんど凍結範囲のサイズに大きな違いがないことが明らかになりました。衛生面や安全性およびコスト面などからステンレス製が望ましいと考え、新規凍結端子を開発しました。3.凍結領域を凍結治療中に確認できる凍結端子の開発について比較的近い範囲では超音波装置を用いることで凍結領域を認識することが可能であることが明らかになりました。一方、距離が遠くなるに従って超音波装置のノイズが多くなってしまい検出能力が低下してしまうことも明らかになりました。そのため、凍結端子に同心円状の超音波装置を設置することで凍結範囲を比較的確実に測定することが可能と考えていますが、超音波装置の分だけ凍結端子が太くなってしまう恐れがあり、凍結端子を経皮的に穿刺して治療をすることから太い端子は都合が悪い面もあり今後の重要な課題であると考えます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に想定した通りの日程案で研究が進んでいると考えます。
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今後の研究の推進方策 |
初回申請時点で3つのポイントを元に研究を進めていくことを考えていましたが、本年度研究により素材の変更による新規凍結端子の開発はこれ以上すすめるのは難しいと考えます。そのため、凍結範囲を可変できる凍結端子の開発および凍結領域を凍結治療中に確認できる凍結端子の開発を優先して行いたいと考えます。凍結端子を可変できる凍結端子の開発においては、氷結塊を大きくするにはジュールトムソン効果を有効に起きるようにするのが効果的であることがわかってきています。即ち50MPa程度の超高圧ガスを低圧に向けてエンタルピー一定で細孔から噴出させることが重要であることがわかってきております。凍結領域を想定する関数式を既に得ていることから、細孔の位置を安全に動かすことのできる凍結端子を開発したいと考えています。凍結領域を凍結治療中に確認できる凍結端子の開発については、前述しましたとおり凍結端子に超音波装置の分だけ凍結端子が太くなってしまう問題点がありますので、この点をどのように改善すればよいか検討し、試作品を作成し寒天モデルでの実用性を調べる実験を行う予定です。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験では1回の実験(2日間)で豚6頭の実験を行います。この実験に要する経費は1回あたり豚6頭、麻酔費用(獣医師への謝金および薬品代)、凍結治療用ガス代(アルゴンガス+ヘリウムガス)、福島県須賀川市での実験であるため交通費と1泊の宿泊費が必要となると考えます。その他、慶應義塾大学医学部内の実験室において寒天モデルを用いた実験を適宜行ない、これにかかる費用は凍結治療用ガス代(アルゴンガス+ヘリウムガス)および実験材料費になると考えています。
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