CORM-2投与群では同所気管移植モデルでepithelial layer、subepithelial layerの肥厚が軽減されていた(p < 0.05)。同所気管移植モデルでは気管内腔狭窄と線維化の抑制が認められた(p < 0.05)。グラフトでのIFN-γ、IL-2のmRNA発現はCORM-2投与群でコントロール群と比べて抑制されていた(p < 0.05)。しかしながらIL-10のmRNAについても検討したが、IL-10の発現は気管移植グラフト内での発現はCORM-2投与群と非投与群において有意な差を認めなかった。In vivoでのCORM-2投与によるアデノシンレセプターのドナー気管における発現はA2Aレセプターが非投与群に比べてmRNAの発現が亢進していた(p < 0.05)。さらなる追加の実験が必要であるが、現時点ではCORM-2によりアデノシンレセプターA2ARが誘導され、気管移植において拒絶反応を抑制している可能性が示された。またTリンパ球の移植気管での浸潤が検討された。CORM-2投与群で非投与群に比してTリンパ球の浸潤が抑制されていることが確認された(p < 0.05)。Tリンパ球のサブセット解析が必要であるが、現在のところCORM-2によるリンパ球浸潤減少は示された。血液中のCOHgb濃度の検討が課題となるが、経時的に今後検討することが必要であると考えられた。
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