研究課題/領域番号 |
23791578
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
高田 宗尚 国際医療福祉大学, 大学病院, その他 (20459514)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 自動吻合 / 大動脈 / 人工血管 |
研究概要 |
平成23年度においては成豚大動脈に対する自動吻合の準備として,巾着吻合についての工夫を検討した.課題として明確になった点は,自動吻合器のカートリッジ内に確実に吻合端が収納するように縫縮することであり,いくつかの方法を再検討することにより達成した.その後全身麻酔下の成豚に対し,自動吻合器を用いた下行大動脈置換術を施行した.本手術においては成豚の下行大動脈があまりに伸縮性に富んでいたため,大動脈を遮断し切開した際に,吻合端が極めて短くなるという,術前には予測し得なかった事態に陥った.そのため吻合部位を中枢側に変更することを余儀なくされ,自動吻合する前の処置としての巾着吻合が予測していた以上に困難であることが判明した.心拍動下ではなく心静止においては,これまで施行してきた巾着吻合を完遂でき自動吻合器を用いた端々吻合に成功することができたが,心拍動下の状態では成豚の比較的小径な下行大動脈に,狭く深い術野で巾着縫合を行うことは至難の業であった.そのため当初の予定であった自動吻合器を用いた大動脈人工血管の端々吻合における,出血量の測定/吻合時間の評価については心拍動下で行えなかったため,達成には至らなかった. 平成24年度の研究においては,この課題を克服すべく「BEAT」という心臓手術トレーニングシステムを導入し,狭く深い術野で心拍動下の状態で巾着縫合を短時間で終了する方法を研究する予定である.この課題をクリアすることにより,心拍動下で自動吻合器を用いた大動脈人工血管端々吻合を実現させ,本法のメリットや問題点を明確にする所存である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成豚に対するwet laboでの研究は一定の成果を上げた.しかしながら自動吻合のメリット,デメリットを明確にするまでには至っていない.本年度は吻合の精度を高めたうえで,大動脈人工血管の自動吻合を行い,この点を明らかにする所存である.
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今後の研究の推進方策 |
成豚の下行大動脈は伸縮性に富んでおり大動脈遮断後に切開することで吻合面が縮小するため,自動吻合を行う前に吻合面へ巾着吻合を行う際に,拍動下での狭く深い術野での微細な吻合技術が要求されるとわかった.そのため24年度にはこの問題を解決すべく,吻合トレーニング用の機材を購入し技量を磨いたうえでの,吻合研究を測る所存である.
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次年度の研究費の使用計画 |
「BEAT」という心臓手術トレーニングシステムを導入し,狭く深い術野で心拍動下の状態で巾着縫合を短時間で終了する方法を研究する予定である.この課題をクリアすることにより,心拍動下で自動吻合器を用いた大動脈人工血管端々吻合を実現させ,本法のメリットや問題点を明確にする所存である.
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