研究概要 |
中間報告にて報告した「ラット脳内にACNUをCED法で投与することにより投与局所において血液脳関門(BBB)の透過性が一過性に亢進することが示された。このBBBの一過性の透過性亢進に注目して、この時期に化学療法剤を全身投与することで治療効果の向上があるのではないかとの仮説をたて、これを検証、ラット脳腫瘍モデルで解析しこれを証明した。」に関しては論文が掲載された(Nakamura T, Saito R. et al, Cancer Lett 2011;310,77-83)。免疫の共刺激因子OX40シグナルを活性化させることで免疫を誘導する実験系に関しては、脳腫瘍内でOX40シグナルを活性化させるよりもOX40アゴニストによる全身性の刺激が良いことを見出した。特に腫瘍ワクチンとの併用による皮下投与でその免疫誘導効果は強く、免疫後のリンパ球のインターフェロンガンマ、インターロイキン2産生能の増大を確認した。さらに、この腫瘍内と全身でのOX40シグナル刺激の違いに注目して研究を進め、OX40シグナルが腫瘍微小環境では腫瘍をpromoteする方向に働く可能性も見出した。また、脳腫瘍モデルの治療研究を実施、投与法を腹腔内全身投与と腫瘍ワクチンに添加しての皮下投与の2群に分けて比較し、皮下投与効果がより有効であることを見出した。特にGL261マウスグリオーマモデルでは強い効果が得られ、また脳腫瘍幹細胞であるNSCL61細胞を用いたモデルでも抗腫瘍効果を確認した。また、治療後に生存したマウスに対して腫瘍再移植(re-challenge)を行ってみると拒絶することを確認した。これらの結果に関しては現在英文誌投稿中である。
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