研究課題
イソクエン酸脱水素酵素(IDH)は、WHO分類のグレードII、IIIのグリオーマやsecondary glioblastomaにおいて高頻度に点突然変異が生じることが報告された。一方、primary glioblastomaではほとんど変異が検出されない。また、酵素活性中心であるIDH1の132番目のアルギニン(R132)、IDH2の172番目のアルギニン(R172)に変異が集中しており、変異型IDH1/2はイソクエン酸をα-ケトグルタル酸に変換する活性を失うだけでなく、α-ケトグルタル酸を2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)に変換する新しい酵素活性を得ることが報告された。臨床的に重要なことには、野生型IDH1/2と比べ、変異型IDH1/2を保持するグリオーマの予後は格段に良く、グリオーマの予後診断マーカーとして有用である。本研究において、変異型IDH1/2に対する特異的モノクローナル抗体を樹立し、グリオーマの予後診断マーカーとして確立することを目的とした。まず、変異型IDH1で最も頻度の高いR132Hに対する抗体(HMab-1; mouse IgG1)を樹立した。HMab-1は野生型IDH1を認識せず、R132Hのみを特異的に認識することを、ELISA法、Western-blot法にて確認した。また、HMab-1は、R132H陽性のグリオーマに対する免疫組織染色にて腫瘍細胞特異的に反応し、血管内皮細胞などの正常細胞には反応しなかった。次に、比較的頻度の高いR132Sに対する抗体(SMab-1; mouse IgG1)を樹立した。SMab-1も同様に、ELISA法、Western-blot法、免疫組織染色にて、R132Sのみを特異的に認識した。これらの変異型抗体を組み合わせてグレードIII症例の生存曲線解析を行うと、IDH1変異が予後良好因子となることがわかった。
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