グリオブラストーマの治療ではアルキル化剤であるtemozolomide( 以下TMZ と略す) が用いられているが、グリオーマ幹細胞ではTMZ 耐性を与えるDNA 修復酵素のO6-methylguanine-DNA methyltransferase ( 以下MGMT と略す) が高発現しているため、TMZ 治療後も残存し再発につながると考えられている。本研究では1)MEK あるいはMDM2 を阻害によりp53 依存的にMGMT の発現が低下すること、2)MEK 阻害剤とTMZ の併用によって単剤投与よりも有意に細胞死が増強すること、3) マウス頭蓋内腫瘍モデルにおいてMEK 阻害剤とTMZ の併用で単剤投与よりも生存期間が有意に延長することを確認した。 本研究の成果は、難治性腫瘍の一つであるグリオブラストーマに対してMEK-ERK-MDM2-p53 経路が新たな治療ターゲットとなる可能性の有効性を示唆するものである。
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