これまでに細胞増殖因子などのタンパクを付着させたコイルが再開通防止に有効であるとの報告があるが、これらのコイルでは滅菌が困難であり保存安定性についても難点が多く、認可に多くの困難が伴うと考えられる。本課題ではDESの成功例に倣い既に治療に多く使われてきた低分子薬物と従来のコイルを複合化した新規脳動脈瘤治療用デバイスの開発を行い、当該デバイスを用いた治療と再生医療の融合を目指した。低分子薬剤として高コレステロール血症の治療薬として用いられているスタチン類を用い、リン脂質からなる脂質層を形成させ、これにスタチン類を含有させ徐々に放出することを試みた。その担持などの評価に、白金モデル表面を用いた蛍光顕微鏡、表面プラズモン共鳴法、表面プラズモン励起蛍光分析による解析を用いることができるか、また血管内皮細胞などの培養細胞を用いた検討が行えるかも試みた。結果それぞれの解析方法を組み合わせることでコイル表面へのスタチン類など低分子薬剤の担持の検討に有益な知見を得られた。以上を組み合わせリン脂質からなる脂質層にスタチン類を含有させたコイルを作成した。上記コイルは動脈瘤塞栓コイルとして高い可能性を有すると期待できる。
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