研究課題/領域番号 |
23791602
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
亀田 雅博 岡山大学, 大学病院, 医員 (50586427)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 電気刺激療法 |
研究概要 |
脳梗塞に対する電気刺激療法は米国では臨床研究まで進んでおり、一定の効果が得られているが、その機序はほとんど不明である。我々はこれまでに、ラット脳梗塞モデルに対して電気刺激を行い、栄養因子の分泌促進、炎症反応の抑制、抗アポトーシス効果、内在性の幹細胞を賦活化を通して、結果として電気刺激が、脳梗塞保護効果を持ち、損傷組織を置換すべく新生神経に遊走を促す作用をもつことを示してきた(Baba T et al., STROKE 2009, Morimoto T et al., Cell Transplant. 2010)。 研究代表者は、本研究応募前より電気刺激と神経新生の関係について検討を続けており、平成23年度は、Long-term potentiation(長期増強)を起こすような刺激が、intactな状態のマウス海馬歯状回において、効率よく神経新生を引き起こすことができるということを証明し、英文誌に掲載された。また、Regenerative Medicine for Cerebral Infarctionという題名でbook chapterの執筆を行った。 電気刺激による神経新生を電気生理学的な観点から評価するだけでなく、脳梗塞やパーキンソン病といった、我々がこれまで研究のターゲットにしてきた疾患に対する電気刺激療法の可能性を、更に追求することも本研究の目標の一つであり、パーキンソン病に対する硬膜外刺激の実験も併せて行った。この実験においても、刺激を加えることで行動学的にも良好でかつTH fiberの良好な温存を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳梗塞・パーキンソン病といった我々がこれまで研究のターゲットにしてきた疾患に対する電気刺激療法の可能性を更に追求することも本研究の目標の一つである。ラットに対するLTP実験では、field potentialは得られたものの、実験室内のノイズにfield potentialが埋もれることも多かったので、この解決策を見つけるのに時間を要し期待したほどには実験が進まなかった。一方で、パーキンソン病に対する硬膜外刺激実験は、刺激を加えることで行動学的にも組織学的にも良好な結果が得られ、電気刺激療法の可能性を追求する目標において一定の成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
ラットのLTP実験については、field potentialが実験室のノイズに隠れてしまうことが多かったので、ノイズを取り除いたうえで脳梗塞への治療や予防効果を検討したい。また、パーキンソン病に対する硬膜外刺激実験については、様々なパラメータにて比較検討することで、さらに治療効果をenhanceできないか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラットの電気生理実験においては、field potentialがノイズに隠れてしまうことが多かったので、ノイズを取り除く必要がある。初年度の必要物品としては申請していなかったが、ノイズを取り除くためにfaraday cageとhumbugの購入が必要と考えている。
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