研究課題
我々は、これまでに脳梗塞モデルに対して低頻度硬膜外電気刺激をおこなうことで、栄養因子の分泌促進が図られることを証明してきた。今回、そのメカニズムを電気生理学的な観点から解析することを目標として、intactな状態のラットに対してperforant pathwayにLTPを起こす刺激とLTDを起こす刺激を与え、分泌される栄養因子に差異があるかどうか検討してみた。分泌されると予想される栄養因子の一つとしてGDNFをELISAにて測定してみたが、両群で有意な差を認めなかった。また、電気刺激という観点からはパーキンソン病モデルに対する脊髄電気刺激の実験がスタートしており、刺激周波数による治療効果の違いが確認された。結果に関しては学会にて発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
脳梗塞に対する電気刺激以外に、パーキンソン病に対する脊髄電気刺激療法についての研究が本年度は特に進んだ。脊髄電気刺激療法はすでに臨床でも行われているが、そのメカニズムに関してはまだ十分解明されているとはいえず、この研究が軌道に乗ってきたことは、神経疾患に対する電気刺激の役割を解明するうえで有用と考えられるため。
LTP、LTDを引き起こす刺激を与えた後に分泌される栄養因子に関しては、検討対象とする栄養因子を増やして比較検討し、有意な差を認めるものがないか調べる。それをターゲットとして虚血モデルにて同様の結果が得られるか確認する。本年度軌道に乗ってきたパーキンソン病モデルに対する脊髄電気刺激療法の治療効果に関する実験について、学会発表をすすめ、論文化を目指す。
本研究において発生する経費は、霊長類も含めた実験動物の購入・飼育、電気刺激装置の電極、栄養因子定量や免疫染色用の抗体やキットなど、研究に直結してくる消耗品が大半を占める。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (17件) 図書 (1件)
Brain Research 1502
ページ: 55-70
10.1016/j.brainres.2013.01.042
Translational Psychiatry
巻: 2 ページ: e72
10.1038/tp.2011.70
Acta Medica Okayama
巻: 66 ページ: 429-434
岡山医学会雑誌
巻: 124 ページ: 111-114
神経外傷
巻: 35 ページ: 125-129