【方法】低酸素脳虚血モデルを作成すべく、低酸素チャンバーを作成。装置内の酸素濃度を8%に一定すべく酸素流量を調整した。マウスに対しては、アイソフルレンを用いた全身麻酔下に両側総頸動脈を永久結紮した。すべての手術が完了し、1時間経過した後に低酸素チャンバーにて低酸素負荷を行った。行動学的解析にはcylinder testを、また組織学的解析にはTTC染色を行いmitochondria dysfunction の評価を行った。 【結果】PrPc過剰発現マウスは脳梗塞に対する障害が軽度であることが示唆され、strain は異なるものの、PrPcによる脳保護効果が考えられた。脳梗塞・脳血管性認知症においては髄液中のtotal プリオン蛋白が減少するという仮説ではあったが、結果としては脳梗塞・脳血管性認知症においては髄液中のtotal プリオン蛋白は維持される。しかしながらヒトプリオン病のおける髄液中のプリオン蛋白の減少していることが明らかになった。 本研究はマウスの低酸素モデル作成に難渋した。Prion knock out mouseとwild typeとの比較ではベースのstrain であるBL6 mouseを用いて梗塞が比較的均一に作成できた(低酸素30分負荷)。しかしながらPrion over expression mouseのベースとなるFVB mouseを用いると梗塞が作成できず、恐らくstrain の違いによる側副血行路、あるいは虚血耐性の差であると考えられた。
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