研究課題/領域番号 |
23791611
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
堀江 信貴 長崎大学, 大学病院, 助教 (70380912)
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キーワード | 脳梗塞 / 再生医療 / 幹細胞 |
研究概要 |
【目的】脳梗塞は再生医療が期待されている疾患であるが、これまでに動物モデルにおいて脳梗塞後に細胞移植をすることで脳虚血による認知、行動の改善が得られたと報告され、脳梗塞に対する治療法の新たな側面としての期待は大きい。しかしながら、投与方法、移植細胞ソース、タイミング、回復メカニズムなど、まだ解決すべき課題も多い。我々は血管内治療による動脈内投与の可能性を求めて検討を行った。 【方法】動物モデルを用いて脳虚血再灌流モデルを作成し、患側の内頚動脈から順行性の血流を維持したまま、幹細胞を選択的投与した。解析項目は、①移植細胞の脳内へのmigration、②炎症性サイトカインとの相関、③動脈内投与における塞栓合併症・血流低下の検討、④移植時期によるmigration、ホストの変化、⑤行動学的変化とし、主に静脈内投与との比較を行った。 【結果】移植細胞は多く脳内へmigration しており、静脈内投与の約40倍の効率であった。また、虚血部位への細胞のhomingは炎症性サイトカインと相関性が強く、より急性期の投与においてhoming する細胞が多かった。梗塞後7日を経過すると脳内へのmigration はほとんど見られなかった。また、動脈内投与で危惧されるembolic strokeについては血流を維持した状態であれば影響が少ないことが判明した。移植タイミングによる検討では、急性期投与は主に脳保護作用を、亜急性期投与は神経再構築を主な作用点として行動学的改善が得られた。 【結論】脳梗塞に対する血管内治療を用いた幹細胞移植は、少ない細胞数で障害部位にselectiveに投与が可能であり、特に自己骨髄移植を行う際に有用性が高いと考えられる。静脈内投与では必ずしも移植細胞が脳内にmigrate していない、との報告もあり、動脈内投与とは移植細胞の作用点が異なる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
脳梗塞モデルの作成、移植方法の確立が予定通りし達成でき、本年度は組織学的解析が十分に可能であった。時期特異性を評価するために、梗塞後1日目、4日目、7日目移植群、さらにはコントロール群を加えた計4群での解析にてスタートしたが、各群ともに行動学的改善の有意な差が見られたことが大きかったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は時期特異性、領域特異性につき更に検討を進めるべく、行動学的解析、タンパク解析、組織解析を行う予定である。 特にタンパク解析においては炎症性サイトカインに注目しておりが、タンパクの変化が微量である可能性が高く、その検出に時間を要する可能性はあるため、じっくり検討して遂行したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画として、国際脳卒中学会をはじめとした主要学会においての研究発表に、また実験動物、抗体、試薬、ELISAキットなどの消耗品に充てる予定である。また、行動解析ソフトやその器具についても必要に応じて補充する予定である。
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