研究課題/領域番号 |
23791612
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
立石 健祐 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00512055)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 虚血細胞死 / 全脳虚血モデル / 内在性神経幹細胞 |
研究概要 |
本研究では、海馬、線状体及び視床領域における虚血細胞死に着目した。これらの領域には虚血に脆弱な領域が存在することから、この3領域を中心に解析を進めることにした。内在性神経幹細胞の脳虚血侵襲後の挙動及び各種成長因子への応答性を解析すると共にどの程度の神経細胞が誘導、置換されるかを検討するにあたり、動物虚血モデルの確立が必要不可欠であり、至適条件を設定するための各種パラメータ解析を行った。内在性神経幹細胞からの神経再生療法が脳の広範な領域でどの程度可能かを検討することを研究全体の構想としたため。平成23年度は全脳虚血モデルを用いた海馬CA1、線条体、視床の3領域に焦点を定めた。これらの領域はそれぞれ虚血神経細胞死モデルを作成するために異なる至適条件を設定する必要が挙げられた。海馬CA1領域の虚血モデル確立に当たり、一過性全脳虚血時間を360秒に設定するとともに平均動脈血圧を55mmHg,更には動脈血液ガスを安定させたことにより95%以上の領域で神経細胞死が観察されたとともに2週間後の生存率85% を達成した。一方で線条体並びに視床領域に関しては更なる虚血負荷が必要であった。しかしながら負荷侵襲に伴う長期生存率の低下が大きな課題として残っており、引き続き至適環境の設定とともに成長因子投与における細胞応答を次年度の研究にて解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
げっ歯類の一過性全脳虚血モデルは、海馬に関して、非常に高い再現性と高い生存率を持って神経細胞死の観察が可能である。一方で、視床、線条体領域において同様の細胞死を観察するためには更なる虚血侵襲が必要不可欠である。一方で虚血侵襲に伴う生存率の低下が現時点での大きな課題であり、虚血時間だけでなく、血圧コントロールなどによる別方向からのアプローチを行う必要性を感じた。安定モデル確立に時間を要していることが達成状況に遅れを生じさせる要因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
安定性樹立の困難な視床、線条体領域の解析を図るため、引き続き動物モデルの作成を行うと共に、特に海馬領域において経脳室的に各種成長因子を投与し、細胞応答を解析することを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物モデル確立のための動物購入費、人工呼吸器管理に伴う各種ランニングコスト、免疫染色、各種成長因子購入費用とともに、学会での情報収集や論文発表準備費用に用いる予定である。
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