研究概要 |
本研究では全脳虚血ラットモデルの作成並びに内在性神経幹細胞の虚血後急性期応答解析を行った。ラット全脳虚血モデルにおける海馬 CA1、線状体領域、更に視床領域での神経再生誘導解析、検討を行った。 椎骨動脈凝固離断による永久閉塞と総頚動脈の一過性閉塞を併用した4血管閉塞モデルを作成し、海馬CA1領域の神経細胞死に関しては6分虚血とともに低血圧負荷(収縮期血圧55mmHg)を加えることにより均一な細胞死モデルの作成が実現された。しかしながら線状体・視床における神経細胞死モデルは生存性に課題が残った為、本研究期間においては海馬CA1に焦点を絞り解析を行った。 この結果を元に全脳虚血後に48時間の BrdU 腹腔内投与により増殖細胞の pulse labeling を行い、虚血後14日までの増殖応答プロファイルを解析した。海馬CA1損傷をNeuN, KB染色の上定量的に評価後、成長因子を脳室内投与し、幹細胞の挙動を解析するとともに、Notch signaling の修飾がどのような影響を及ぼすかを検討した。 しかしながら、本研究において明らかな神経細胞増殖は確認されなかった。成長因子投与量、期間などの実験手法の不備によるものか、強い虚血負荷侵襲によるものか、更には現実的治療オプションとしての意義に欠けるものなのか、本研究での結論づけは困難であった。このため引き続きこれらの疑問点に対する解明を目的とした研究継続を図る予定である。
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