次年度の研究費の使用計画 |
1.神経膠腫各組織別に,化学療法(あるいは放射線・化学療法の)後の治療効果と生存期間について検索し,IDH1, 2変異との相関性の有無をlogrank testにより解析する.2.IDH1, 2以外の臨床的,病理学的予後因子を含め,IDH1, 2の遺伝子異常の存在が,独立した予後因子であるか否か,統計学的に解析する.3.変異型IDH1遺伝子の導入がされた細胞株が樹立した後、その生物学的意義を検証する。抗癌剤治療(temozolomideなど)や細胞死を誘導するTRAIL,あるいはTRAIL受容体特異的モノクローナル抗体,その他EGFR阻害剤(AG1478),mTOR阻害剤 (Rapamycin)などの分子標的治療薬などによる治療を行い,その感受性に野生型IDH1, 2を示す親株細胞との差の有無につきMTTアッセイなどを用いて比較検討する。4.感受性の変化が認められるIDH変異が確認されれば,変異型IDH1, 2の発現に伴う細胞内シグナル経路上の変化や遺伝子発現プロファイルの変化の有無について,親株と変異株のそれぞれにおいて蛋白抽出,mRNA抽出を行い,Western blotやRT-PCR, あるいはmicroarrayを用いた解析を検討し,治療感受性に及ぼす下流の因子解析を行う.5.更に,変異型IDH1, 2の導入細胞をヌードマウスの皮下あるいは脳内に移植し,形成された移植腫瘍に対し,抗癌剤・分子標的治療薬による治療を行い,in vivoにおいても実際に治療効果に影響が出現するか否か,親株による移植腫瘍と比較検証する.また,その結果を腫瘍の病理検索も交え検討する。
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