神経膠腫に高頻度で認められる遺伝子異常IDH1変異の腫瘍細胞に対する生物学的影響を検討した。高度に悪性化形質を獲得している膠芽腫細胞にIDH1R132Hを導入し、高発現する細胞株を樹立した。IDH1R132Hの高発現による明らかな腫瘍関連、細胞死関連、細胞周期関連遺伝子発現に影響は認められなかったが、CDDPに対する感受性が高まる可能性が認められた。更に、高度に亢進した造腫瘍性がIDH1R132H高発現により抑制される可能性も示唆された。低悪性度神経膠腫のhallmarkであるIDH1変異は、高悪性度神経膠腫ではむしろ腫瘍に対してはnegativeな影響をもたらす可能性も検討課題と考えられた。
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