研究課題
パーキンソン病は大脳皮質-大脳基底核を中心とした運動制御機能に異常をきたした状態であるがその病態については不明な点が多い。パーキンソン病に対して行われる脳深部刺激療法の手術中に、微小電極を用いて脳深部の神経活動記録が行われる。本研究は、この神経活動記録から、パーキンソン病患者の視床下核の単一ニューロン発火活動の周波数分析を行い、パーキンソン病症状の発生に関連していると考えられているβ帯域の神経活動を持つ単一ニューロンを同定し、こうしたニューロンの性質を分析することである。既にH23年度に単一ニューロンの発火時間データからMatlab上で周波数分析をおこない、統計学的に有意水準を越えるβ帯域の神経活動を持つニューロン(βニューロン)を同定し、βニューロンとそうでないニューロン(非βニューロン)の発火頻度を比較し、従来のパーキンソン病の発火頻度仮説とβ帯域の神経活動の関連を検討した。H24年度にはβニューロンと非βニューロンが運動感覚に反応するニューロンであるか否かを検討した。その結果、運動感覚ニューロンの割合はβニューロンと非βニューロンで差はなく、この結果から単一ニューロンのβ帯域の活動は PD の運動症状を特異的に反映する活動ではない可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
既に107個のSTNニューロンを分析し得ており、当初の計画通りである。βニューロンと非βニューロンの発火頻度の比較において有意なデータも得ることができていることに加えて、こうしたニューロンの性質についても分析が進んでいるため。これらの結果について既に学会発表を行っている。
引き続き、βニューロンと非βニューロンの性質を分析し、検討していく。加えて同時記録された振戦の筋電図と同じ周波数で高いコヒレンスを有する単一ニューロン活動(振戦ニューロン)を周波数分析にて同定し、振戦ニューロンとβニューロンが異なるか否かを検討する。
筋電図記録関連(ディスポーザブル電極、ペースト剤、ケーブル等)、マイクロレコーディング関連(ケーブル、コネクタ等)、データ保存用 HD ドライブの消耗品として用いる。情報交換や学会で研究成果を公表するために必要な出張経費、外国語論文の校閲、ホームページ上での成果の公表、論文発表の際の諸経費として用いる。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Neuromodulation
巻: 16 ページ: 51-54
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