研究課題/領域番号 |
23791618
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
渡邉 大 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (60535912)
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キーワード | ボクセル法 |
研究概要 |
当年度においては,まずモデルの生体忠実性を低下させることなく要素数の減少を行うため断層画像の修正を行った.元の5000万要素から600万要素程度までモデルの縮小を行うため,ボクセルモデルのベースとなるビットマップ画像の解像度を低下させた.本来のビットマップ画像では1pixelのサイズは0.33mm×0.33mmに相当するが,これを1辺を3倍の1mm×1mmとしてモデルの要素サイズを約10分の1にサイズダウンさせる.この作業に伴い,大脳鎌,小脳テントといった膜組織の連続性が失われたため,これらの修正を行った.また,モデルの生体忠実性を向上させるためにいくつか画像に対する修正を行った.まず軟組織においても積層方向の組織の連続性が失われていた.これはビットマップ画像を作成する際の作業者における主観の相違から発生する塗り分け誤差によるものであった.次に骨組織の修正である.本モデルにおける骨組織はは緻密骨と海綿骨の2つの組織を有しており,本来は緻密骨の内側に海綿骨が存在するところ,海綿骨がむき出しになっているところがいくつかあり,これについても修正を行った. これらについて修正を行った後,モデルについての妥当性の検討を行うため,検証の第一弾として既存の死体実験をシミュレートし,圧力応答の比較を行った.ソルバは商用解析コードLS-DYNAを用いる.各組織の物性値は著者らが過去に行った研究で用いたものをそのまま用いた.本研究におけるモデルの脳組織は白質及び灰白質からなるが,同一の組織みなして物性値を与えている.圧力応答の比較を行った結果良好に対応した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば当年度でモデルの妥当性を十分に検討し一般公開する予定だったが,モデルの修正に十分に時間を費やしたため,モデルの妥当性の検証作業に遅延をきたしてしまった.
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今後の研究の推進方策 |
著者らが過去に開発した頭部モデルと今回開発した頭部モデルの挙動を比較し,その妥当性についてさらに検討を行う.また,一般公開に向けて準備を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
モデルの修正作業に時間を費やすことになり,ワークステーションの消耗品及び学会参加費の経費が減ったため.また,汎用構造解析ソフトLS-DYNAの年間ライセンス使用料が予定金額より下がったため. 作製された頭部ボクセルモデルの生体忠実性及び衝撃に対する挙動の妥当性検証を行うための汎用構造解析ソフトLS-DYNAの年間ライセンス使用料,ワークステーション消耗品の購入及び学会参加のための旅費として使用する.
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