研究課題
高齢化社会をむかえて、骨粗鬆症に代表される老化に伴う骨疾患数は増えつづけており、この治療・予防に力学刺激の強い運動(レジスタンス運動)は有用と報告されている。私と共同研究者は脳における主要な興奮性伝達物質であるグルタミン酸の力学的刺激伝達機構における役割とイオンチャネルの一種でペースメーカーチャネルと呼ばれるHCNの骨代謝機構における役割を明らかにしてきた。これらの結果は、骨の細胞間で脳神経と類似した情報伝達の存在を示唆している。そこで、脳内神経伝達物質受容体・イオンチャネルを介した電位変化を伴う力学的刺激による骨代謝機構の解明を目指す。In vivoでの解析のため、頭頂骨部に焦点をあてて、頭頂骨を切り取った部分に、マトリゲルとともに光作動性イオンチャネルを導入した細胞を埋め込み、定着させることに成功した。現在、この細胞を埋め込んだマウスにたいして、光照射をおこない、骨量のコントロールをおこなうことを試みている。膜電位作動性分子の破骨細胞の機能的スクリーニングをおこない、その結果、ライソソームにある膜電位感受性イオンチャネルのカルシウム透過性チャネルTPC2を同定した。破骨細胞の分化過程において、細胞内カルシウム濃度の変動が深くかかわっているが、TPC2はこの細胞内カルシウム変動を制御しており、破骨細胞分化をコントロールしていることを報告した(発表論文2)。また、力学的負荷・膜電位変動時における骨芽細胞の細胞内カルシウム変動にイオンチャネルTRPV4の関与を見出した(発表論文1)。
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