研究概要 |
RAGEにより誘導される遺伝子の網羅的解析:RAGEがリガンドと結合することで伝達されるシグナルには、Cdc42, Rac1, NFκBなどがある。一方、これまでに骨肉腫の培養細胞で、RAGEの発現している細胞で幹細胞マーカーであるCD133、CD24が発現していること、及びRAGE遺伝子の導入によってCD133、CD24の発現が誘導されることを見出したが、その機序は不明である。CD133は、脳腫瘍など他の癌腫のがん幹細胞のマーカーとして、CD24は大腸がんや膵臓がんなどのがん幹細胞のマーカーとして報告されている。RAGEがリガンドと結合することでこれらの幹細胞マーカーの発現を誘導するシグンルが伝達されるのか、またはRAGEの発現に伴って幹細胞マーカーの発現を誘導するシグナルがあるのか、それらを解析することが重要と考えた。そこで平成24年度にlimited dilution法により樹立したヒト骨肉種細胞株(HOS)を用いて、RAGE遺伝子導入により誘導あるいは抑制される遺伝子の解析のためにコントロール細胞とともにAffimetrix genechip pathway解析を施行した。階層的クラスタリングの結果はRAGE遺伝子導入群とコントロール群がきれいに2つのクラスタに分かれ、Rank products法にて発現変動遺伝子の抽出を行った。その結果、発現が誘導される遺伝子と抑制される遺伝子が約1500個ピックアップされた(FDR:false discovery rate<0.05)。特に発現の上昇しているものは細胞周期、細胞分裂に関わる分子が多いことが判明した。
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