研究課題
近年、癌細胞を電磁場に暴露した際、細胞膜に脱分極が生じ、腫瘍細胞への抗腫瘍薬の取り込みが増強することが報告されている。今回われわれは、悪性骨軟部腫瘍の治療成績向上をめざして、薬物療法と交流電磁波暴露を組み合わせた"交流電磁場下化学療法"の新規治療開発を行っている。現在当初の計画どうりにin vivoにおいて上記の効果を確認している。骨肉腫細胞株であるLM8を用いて、培養液の温度を20-37度まで様々な温度において、交流磁場と抗癌剤であるアドリアマイシンを加えその反応を観察している。また、アドリアマイシンと交流磁場曝露の時間的なタイミングも重ねて検討している。通常臨床的にはアドリアマイシン投与後は嘔吐・気分不快などが翌日には出現するため、アドリアマイシン投与後、数時間経過したのちに交流磁場を曝露することで、実際の臨床に近い形での効果が確認できると考えている。また、In vivoについても現在計画を進めている。LM8をマウスの背中に皮下注射し、腫瘍の直径が10mmに到達した時点で、アドリアマイシンを投与している。現在アドリアマイシン投与群と無治療群との比較を行っている。アドリアマイシン投与群は明らかに抗腫瘍効果を認めており、現在交流磁場を加えるにあたり、至適濃度を検討している。今後アドリアマイシンの濃度と効果を考慮して、交流磁場を追加した群と、交流磁場のみの群での腫瘍径での変化を観察する。
2: おおむね順調に進展している
特に大きな支障なく実施中である。
In vivo, In vitroともに現在実験を進行中であり、今年度中を目標にその効果をまとめていきたい。
In vitroでは引き続きアドリアマイシンを使用して、交流磁場併用との効果を確認する。その後イホマイドも使用して実験を継続する予定である。またIn vivoにおいてもマウスを使用して今後抗癌剤に交流磁場を併用した効果を確認する段階である。またIn vivoにおいては顕微鏡的評価を行うため、局所の壊死効果、肺転肺転移への抑制効果も標本を作成して検討を行う。また、 マウスの生存率を改善するかどうかの検討を行うため、上記の実験後に別のマウスを使用して、マウス背部皮下に移植した腫瘍にそれぞれの処置を行った後、そのままマウスを生存させ、抗腫瘍薬投与+電磁場暴露群において生命予後の改善が得られるのかどうかを検討する。現在エンドポイントを3カ月~6カ月で考案中であり、最終的に生存していたマウスに関しても、肺転移の有無など病理組織学的検討を行う予定である。 平成23年9月1日から平成24年8月31日までイギリスで研究活動を行っているため、23年度未使用額が生じたが、これについては実験費用に用いることとしたい。
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