研究課題
平成23年度は、悪性腫瘍の酸性化に着目し、し酸性環境での細胞膜発現蛋白を、腫瘍細胞のみならず正常細胞を含めてDNAarrayにて解析した。腫瘍組織には腫瘍細胞と正常細胞が混在しているため、酸性環境で腫瘍細胞、正常細胞の両者に特異的に発現している膜蛋白を同定し、治療標的分子とする。今後、この標的分子に対する特異的抗体をFe3O4粒子をリポソームで包埋したMagnetoliposomeに結合させ、血管内投与にて腫瘍に集積させ、体外より磁場照射をすることで、温熱療法による抗腫瘍効果を目指す。腫瘍細胞に標的分子が発現していることがリポソームの集積性を上げるが、腫瘍細胞は変異が多いため低発現化したり、もともと発現していない腫瘍細胞も存在する可能性がある。それに対し、正常細胞は細胞変異による発現の減少が少ないことが予想され、また腫瘍細胞よりも熱に強いということから、温熱療法に対しては正常細胞にも発現していることが重要であり、標的分子となりえる。
3: やや遅れている
現在、通常環境下と酸性環境化での腫瘍細胞(骨肉腫細胞)と正常細胞(線維芽細胞)を採取し、DNAarrayにて解析中である。H23年度の予定では、DNA解析を終え、標的分子を決定し、抗体とMagnetoliposomeを結合させるまでが予定となっていたが、培養液の酸性の維持が不安定であり、また培養液によって微妙に異なるため、酸性条件の決定にかなりの時間と労力を要したため、当初の予定よりやや遅れている状態である。
今後、推進方策は以下のとおりである。まず、DNA arrayの結果を解析し、標的分子の候補を選定する。選定した候補の組織での発現を、過去の腫瘍の病理組織標本を用いて組織学的に検討し、高発現の分子を標的分子とする。以後in vivoでの評価を行っていく。標的分枝に対する抗体をリポソームに結合させ、マウスに静脈注射し、リポソームの腫瘍集積性を検討する。集積が良好な分子を結合したMagnetoliposomeを作成し、静脈注射後に温熱療法を行い、抗腫瘍効果を判定する。
まず、標的分子の抗体、リポソーム及びリポソームへの抗体の結合を行う。この際、候補が数種あることが予想される。抗体結合リポソームをマウスに静注するが、静注量の作成が必要である。抗体結合リポソームの腫瘍や各種臓器の集積性の評価を行った後に、抗体をMagnetoliposomeに結合させ、腫瘍を生着させたマウスに静脈注射し、温熱療法を行う。静注量の抗体結合リポソーム、抗体結合Magnetoliposomeの作成のために、かなりの抗体量を要する。その他、臓器集積性や抗腫瘍効果班手のためのマウス、リポソーム、リポソームへの抗体結合に費用を要する。
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