骨粗鬆症治療薬PTH 1-34には骨形成作用があり、これを骨折治癒促進に応用できると仮説を立て、検討した。まず、骨折患者の骨折部血腫から分離した細胞に対するPTH 1-34の作用を調べたところ、増殖に有意な作用はなく、骨・軟骨分化には抑制的に作用した。骨折後早期にPTH 1-34を投与しても促進的効果が得られない可能性が示唆された。さらに、ラットの骨折部骨膜を焼灼することで骨折治癒が得られなくしたモデルにPTH 1-34の局所投与および全身投与を行い、その影響を調べた。局所投与は無効であるが全身投与では治癒促進の傾向がみられ、投与形態は骨粗鬆症治療と同様に全身投与が適切であることが示唆された。
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