研究課題/領域番号 |
23791642
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
熊橋 伸之 島根大学, 医学部, 助教 (00457178)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | アデノシン三リン酸 / 変形性膝関節症 / 疼痛 / P2Y2受容体 / P2X7受容体 |
研究概要 |
平成23年度は、実験1においては、ラットにて変形性膝関節症モデルを作製し薬剤(ATP P2Y2 receptor blocker、ヒアルロン酸、ATP分解酵素、ATP P2X7 receptor blocker、NSAIDS)を関節内投与する予定であったが、ラットは膝自体が小さくさらに関節内の容積が狭いため関節内注射が困難であり、関節内投与できている確立が低い可能性が示唆された。また前十字靭帯、後十字靭帯、内側半月板、外側半月板切除後も変形性膝関節症モデルになるまでに時間がかかるため、実験モデルとして困難であることが示唆された。一方実験2においては、60歳代(若年群)で人工膝関節置換術(TKA)を行った2名2膝、と80歳代(老年群)でTKAを行った3名3膝の関節内の増殖した滑膜(膝蓋上嚢、内側外側gutter、顆間窩、膝蓋下脂肪体から採取)を術中に摘出可能であった。両群共に変形性膝関節症(内側型膝OA)であり、全例単純X線分類にてKellgren-Lawrence分類にてgradeIV(内側の関節裂隙消失)であった。若年群では、家族歴に膝痛のある人が2名共に認められた。一方で老年群においては、家族歴に膝痛のある人は3名全員に認められなかった。これらの滑膜をパラホルムアルデヒドにて組織の固定を行った。両群共にHE染色にて滑膜に炎症性細胞の浸潤が認められたが、若年群に炎症性細胞の浸潤が多い傾向にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1に関しては、次回はラットではなくウサギで再度行う予定である。研究2に関しては、60歳代と80歳代の検体を採取し、染色中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究1 ラットでの評価は検体の問題があり、困難であった。よって本年度はウサギで再度行う予定である。研究2 60歳代、80歳代の人工膝関節をH24年度さらに行い、検体数を増やし評価を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度においては検体の収集(ヒト膝関節内滑膜)と当教室内にある試薬を用いたため、研究費の執行を行わなかった。平成24年度においては、研究1においてはウサギを用いて再評価を行う。研究2においては組織標本の数を増やし、ATP受容体であるP2Y2受容体の発現を組織学的検討(免疫染色等)とReal time PCRを用いて各群間での比較、統計学的検定(まだ両群5例以下のため、本年度は実施できなかった)を行う予定である。また可能であれば、変形性膝関節症の進行群、非進行群の遺伝子探索を採血にて行いたい。以上の内容を遂行するため、昨年度と本年度の研究費を使用予定である。
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