研究課題/領域番号 |
23791647
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 秀典 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30393432)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / 再生医療 / scaffold |
研究概要 |
まず、運動機能評価スケールは確立しているものの、感覚機能評価については適切なものが存在しない。そのため、まずは脊髄損傷ラットを用いて、電気生理学的なSEP評価を行うとともに、触覚・痛覚機能評価スケールを作成した。また、運動機能だけでなくGABAニューロンなどの感覚ニューロンの組織評価スケールについても適切なプロトコールを作成した。次にサルを用いたコラーゲンフィラメント移植研究をおこなった。コモンマーモセットを用いた際には、実験動物のサイズの小ささのために移植実験での煩雑さが目立ち、また手術後の管理の問題が生じた。そのため、本実験系に最適なサル種の同定のための調査をおこなった。具体的には(株)新日本科学の鹿児島研究所を訪問し、研究者や動物管理者とも入念な打ち合わせをおこなった。アカゲザルを用いた際の具体的な手術室での麻酔管理や手術操作や必要となる手術道具の調整をおこなった。また脊髄損傷サルの術後管理に際して問題となるであろう呼吸抑制や排尿管理などの問題点を解決しうるケージやバルーンの開発をおこなった。 最終評価時に委託する組織評価の具体的な評価方法や切片作成手法などの詳細についての決定をこなった。最後にそうした研究を具体的におこなった際の費用や予算、必要とされる時間などについてのシュミレーションをおこなった。 予算的な問題から、すべての評価を行うことは困難であったため、アカゲザルの購入の後、プレリミナリーな移植実験をおこなった段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実際にはサルでの研究を積極的に進めるには,膨大な予算が必要となることが判明した。そのため、数匹を購入して実際に移植を行い、短期間での評価を行うに留まっているため。
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今後の研究の推進方策 |
サルでの研究体制が整っている、今回訪問した研究所などにて、ある程度委託できるものについては委託を行っていけば、非常にスムーズに研究は進むことになるが、数千万単位での予算を要す。 今回はnの数は少なくても、実際に移植をおこなったサルにて、入念な組織評価をおこなうことで、コラーゲンフィァメントの移植効果と脊髄再生の効率やメカニズムなどについての詳細なデータ収集をまずはおこなうことを第一目標と設定することに変更した。現時点では統計学的処理が可能な匹数での研究は困難であっても、今後のヒト再生治療の前段階として十分なデータ回収が可能となる。結果的に本研究を推進する結果になると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
電気生理学的評価や組織評価やその解析に必要とされる各種消耗品などに使用する予定である。また、動物管理やあらたな手術操作のさいのインスツルメント開発や購入にも使用予定である。さらには、研究協力のために、研究所の訪問や打ち合わせなどの際の交通費にも研究費を使用予定である。 本年度はサル購入費用が大幅に不足したため、大量購入を断念することになり、結果的に本年度は未使用額が多く生じた。次年度は匹数を限定した状況で、予算内での研究計画に変更することとする。
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