研究課題
骨折治癒や骨欠損に対する骨再生には、骨を形成するための細胞供給が不可欠である。骨折治癒過程における末梢血由来細胞関与のメカニズムは我々がこれまでに示した最新の知見であるが、この点に焦点を絞り、「PTHによる骨形成促進作用のメカニズムの一つとして末梢血由来細胞のホーミングがある」という仮説のもと、PTH間欠投与による骨形成促進効果との関連について検討を行った。昨年度はGFPマウスと野生株マウスを外科的に結合し、末梢循環を共有するparabiosisモデルを用いて、骨折治癒過程における末梢血由来骨前駆細胞の関与はPTHの間欠投与に影響され、骨形成が促進されることを確認した。この結果を踏まえ、PTH間欠投与による末梢血由来骨前駆細胞のホーミングを促進させる因子について検討を行った。昨年度と同様に、parabiosisマウスの大腿骨を骨幹部で骨切りし、連日でhPTH(1-34)を皮下投与した。ホーミングのメカニズムに直接作用する因子として注目されているStromal Derived Factor-1 (SDF-1)の発現率はPTH投与群が非投与群より有意に高かった。SDF-1の受容体であるCXCR4の発現もPTH投与群が非投与群より有意に高い結果となった。また、SDF-1およびCXCR4の発現増加は、GFP陽性細胞のホーミングや骨形成促進と関連していた。これらのことより、1)PTHの間欠投与により、末梢血由来細胞のホーミングが増強され、骨形成が促進されること、2)末梢血由来骨前駆細胞ホーミングのメカニズムとしてSDF-1/CXCR4システムが関与していることが示唆された。このメカニズムを増強することは、骨折治癒過程や骨移植時の骨形成等に対し、治療効率を向上させるポイントになると考えられる。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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