研究課題/領域番号 |
23791666
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小久保 舞美 東海大学, 医学部, 特定研究員 (40535209)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ナシ |
研究概要 |
【目的】培養期間を短縮することを目標とし培養方法の検討を行う。当初の予定であった、滑膜細胞を培養したコンディションメディウムでの細胞増殖活性の実験に使用するためのコンディションメディウムを準備するために時間を要したため、次に行う予定であった、Hypoxiaの実験の順番の入れ替え実験を行った。【方法】本学臨床研究審査委員会承認の下、患者同意のもと肩関節制動術の際時に得られたヒト関節軟骨細胞およびACL再建術時に得られたヒト滑膜細胞(合計22例) を単離後24穴カルチャーインサート用プレートに滑膜細胞を、温度応答性インサート内に軟骨細胞を播種して共培養をし、酸素濃度2%で培養する群(2%群)、酸素濃度5%で培養する群(5%群)、酸素濃度20%で培養を行う群(20%群)の3群を作製し、培養14日まで経時的に各々の軟骨細胞増殖度をMTT assayで計測した。また、温度応答性インサートを用いて同様に培養を行い同条件下で、共培養積層化軟骨細胞シート(L-2%群、L-5%群、L-20%群)を作製し、プロテオグリカン量(以下PG量)をDMMB Assayを用いて測定し、real time PCR法を用いてCOL1、COL2等の軟骨形質維持に関する遺伝子発現を検討した。【結果】5%群、20%群と比較して2%群は有意に細胞増殖活性が高かった。(p<0.05)PG量は5%群、20%群間では有意な差は得られなかったが、2%群、20%群間では、約1.1倍2%群のPG量が多い結果となった。PCRの結果 からは、どの群もCOL2などの軟骨細胞特異的遺伝子の高発現が見られ、COL1などのカタボリックファクターの値は低値に抑えられた。【考察】今回の結果から、より低酸素濃度環境が軟骨細胞の増殖、細胞外基質産生に適した培養環境であることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
このたびの研究の目的である、移植可能な組織の作製までに期間をより短縮する培養方法の検討において、当初の予定であった、コンディションメディウムを使用しての実験が時間の都合上、行うことができなかったが、次に予定していた酸素濃度を変えた培養の検討を行い、その結果に有意な差が見られたことから、概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
【目的】今年度の結果を踏まえて、次年度は今年度回収したコンディションメディウムを使用して軟骨細胞、および軟骨細胞を培養し、より簡易な操作での培養を試みる。また、同じ関節内に存在し再生能にも優れ、MSCの存在も明らかになっている滑膜細胞の使用に関しても検討を行い、採取される軟骨組織の量をより減らし、短期間で移植可能な軟骨組織に近い組織の作製することが可能か、比較検討する。【方法】滑膜細胞、軟骨細胞でそれぞれシートを作製し、積層化する。積層化の方法を軟骨細胞シートのみを積層化するもの、軟骨細胞シートと、滑膜細胞シートを混合して積層化するもの、滑膜細胞シートのみを積層化するもまた、初めから軟骨細胞と滑膜細胞をいくつかの割合で混合したもので軟骨細胞シートを作製し、積層化したものを一定期間培養し、それぞれの積層化細胞シートのプロパティをreal-time PCR、DMMB Assayを用いて比較検討を行う。一定期間培養する際、分化誘導培地を用いるもの、通常培地を用いて培養するものも同時に比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究成果の報告を国内外の学会で報告する予定である。そのため、準備費、旅費、参加費が発生する。次年度予定の実験では、培養を中心に行う予定である。培養に関する試薬類(培地、抗体)また、窒素や二酸化炭素等のボンベの購入が予定される。
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