研究概要 |
特発性側弯症は有病率1-2%の疾患で思春期に脊椎の変形をおこす疾患である。進行例では呼吸障害や心不全、脊髄症状による麻痺、姿勢保持困難等の重篤な症状をきたすため手術が行われるが、合併症も多く治療に難渋する。特発性側弯症の中で約1割に第1親等内での遺伝を認めるが、病気に特異的な遺伝は解明されていない。われわれは家族内発生の側弯症の遺伝子を明らかにした。方法:本解析は側弯症に罹患した患者およびその家族の遺伝統計解析により、原因遺伝子を探索することを目的とする。イルミナ社HumanOmniExpress-12v1_Hチップにてgenotypeされた20検体(罹患10検体、非罹患10検体)を用い、連鎖解析を行った。(SNPマーカー数:730,525)解析手法:クオリティ-コントロール:マイナーアリル頻度およびHardy-Weinberg disequilibrium検定によるSNPのフィルタリングを行い、メンデル遺伝上矛盾するSNPを除外した。また、罹患者におけるSNPタイピングができなかった428 snpsを除外した。Genotyped SNPs: 728,822(Minor Allele Frequency (MAF) < 0.01: 191,104・Hardy-Weinberg disequilibrium test (p-value < 1.0e-06): 0・メンデル異常SNPs: 916・解析対象SNP: 536,374)層別化(MDS: Multi Dimensional Scaling)解析:層別化解析を行い家系情報が間違いで無いことを確認。 結果 TDT解析:PLINK version 1.07を用いて、Family-based association analysisであるTDT解析を行った。Alleleicによるカイ二乗検定のP値を算出し、ボンフェローニ補正およびFDR補正等を行ったP値も算出した。 4つの遺伝子座において5つの遺伝子を疾患特異的遺伝子として特定した。 これらの遺伝子座はいずれも欠損や変異を起こした場合に体幹変形を生じる遺伝子座として報告のある遺伝子座であり、今回の結果で我々は既知の遺伝子座から疾患に特異的な遺伝子を特定し得た。
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