研究課題/領域番号 |
23791682
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐藤 浩司 秋田大学, 医学部, 助教 (80333938)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 一過性前脳虚血 / 低体温 / デクスメデトミジン / 虚血中投与 |
研究概要 |
【背景】我々は以前、ラット一過性前脳虚血モデルにおいてデクスメデトミジン(Dex)と低体温療法との併用効果を検討したが、Dexの投与は脳虚血前または虚血後であった。臨床現場においては脳虚血中に薬剤投与を行う可能性が高いため、虚血中のDex投与の脳保護効果の検討が必要である。【目的】今回、Dexの脳虚血中投与と低体温併用療法の脳保護効果を検討した。【対象】雄性SD ラット24匹。【方法】ハロタン麻酔導入・気管挿管後、調節呼吸とした。尾動脈、左大腿静脈、右頚静脈にカテーテルを留置し、両側側頭筋に脳波電極、右側頭筋および直腸に体温計プローベを刺入した。その後、66%亜酸化窒素とフェンタニルの10 μg/kg単回投与及び25 μg/kg/hの持続投与で麻酔を維持した。対照(C)群(生食1 ml/kg)、Dex100 μg/kg(側頭筋温37.5 ℃)(D)群、低体温(35 ℃)(H)群、Dex100 μg/kg+低体温(35 ℃)(DH)群の4群に分けた。側頭筋温37.5 ℃にて循環諸量と血糖値を測定した後、脱血により平均動脈圧を40 mmHgに維持、右総頚動脈閉塞にて右側前脳虚血状態とした。虚血完成直後に生食またはDexの腹腔内投与と体温調節、20分後に頚動脈閉塞解除と返血による脳の再灌流、再灌流60分後に復温を行った。虚血3日後に脳灌流固定後、脳冠状切片のHE染色を行い、光学顕微鏡的に海馬、大脳皮質、尾状核被殻の虚血脳障害の程度を比較した。統計処理は分散分析を用い、p<0.05を有意差ありとした。【結果】C群に比べ、D群、H群およびDH群における脳障害の程度が有意に少なかったが、処置群間では差はなかった。【まとめ】Dex虚血中投与と低体温療法、両者の併用療法ではそれぞれに脳保護効果を認めたが、併用療法による脳保護の増強効果は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット一過性前脳虚血モデルにおいて、デクスメデトミジン虚血中投与―低体温併用療法の短期的な脳保護効果の検討が達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、ラット一過性前脳虚血モデルにおけるデクスメデトミジン虚血中投与―低体温併用療法の長期的な脳保護効果の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラット・薬剤・検査機器の消耗品の購入、動物実験施設の使用料、成果発表のための旅費等に使用する予定である。
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