硫化水素は低代謝、低体温状態を引き起こすことが知られている。マウスを用いた心肺停止モデルで蘇生後に硫化水素ドナーである水硫化ナトリウム(NaHS)を投与すると虚血再還流傷害を抑制するかどうか調べた。蘇生後にNaHSを3mg/kg腹腔投与すると血圧は低下せず、心拍数と体温が対照群と比較して有意に低下したが、生存率は短期、長期ともに変わらなかった。NaHSによる低体温作用が臓器保護に有利に働く可能性があるため、蘇生後の体温を強制加温して正常になるように保った。蘇生後の体温を正常に保った場合でもNaHS投与群では脳の線条体における組織障害が有意に少なかった。海馬では差は認められなかった。
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