研究概要 |
<脂質平面膜における単一チャネル電流記録と解析>カリウムチャネルには2種類のゲート(フィルタゲートとへリックスゲート)が直列に存在し、単一チャネル電流記録でみるゲーティング現象はどちらのゲートで起こっている現象かわからないため、片方のゲートを開放して、もう片方のゲートの開閉を観察するため、KcsAカリウムチャネルのフィルタゲートが開いたまま固定されている変異体であるE71AKcsAカリウムチャネルを作成した。E71A変異体では、フィルターが開いたままで固定されるため、ゲートのpHによる変化を電流記録し、解析した。酸性では(pH3-4)、開確率はほぼ100%であった。pHが5付近では開確率は50%となり、pH7.5では開確率は0%であった。(pKa=5.5,Hill係数2.2)単一チャネル電流記録から解析した開時間のヒストグラムと閉時間のヒストグラムから時定数を求めた。pH4.0では開時間は398ms、閉時間は0.3ms,1.78ms,31msであった。pH5.25では開時間は281ms、閉時間は0.16ms,50ms,562msであった。pH4.0では開時間は339ms、閉時間は0.25ms,15.8ms,1259msであった。これは、pHを上昇させていくと、開こうとする時間はゆっくりした成分が存在していることが分かった。
|