研究概要 |
1)揮発性麻酔薬を用いた脂質平面膜測定法の確立 揮発性麻酔薬を使用する前に、2,2,2-トリフルオロエタノール(以下TFE)を投与し、その効果を明らかにした。TFEは、CF3基を有する最も単純なアルコールで、液体の状態で存在しており、揮発性麻酔薬の重要な原料である。揮発性麻酔薬を投与する前のカリウムチャネルの開口率は、1%以下であった。TFEを濃度依存性に投与していくと、1%TFE投与では、カリウムチャネルの開口率は1%以下であったが、2%TFE投与では、カリウムチャネルの開口率は約10%、3%TFE投与では、カリウムチャネルの開口率は約60%であった。この結果から、TFE濃度依存性にカリウムチャネルを活性化させることを明らかにした。これは、静止膜電位を安定化させ、麻酔作用を引き起こすことにつながる。さらにTFEはチャネル分子への直接作用ではなく、リン脂質に溶け込んでチャネルを開口させていることも分かった。この結果を基に、実際に脂質平面膜上で揮発性麻酔薬をカリウムチャネルに結合させる方法を試みた。まずは、脂質平面膜にカリウムチャネルを埋め込み、カリウムチャネルの電流記録ができることを確認した。テフロンチェンバーを覆うことができる、透明のアクリル板を作成し、それをかぶせた。あらかじめ穴をあけてホースを通したところから揮発性麻酔薬を投与した。水中ガス測定モニターを用いて、揮発性麻酔薬の濃度を測定できた。
|