研究課題/領域番号 |
23791692
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
正宗 大士 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (40324199)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 体温 / 血糖 / シバリング |
研究概要 |
手術中の体温は低下することが多く、その結果、術後の患者でシバリングが認められることがある。その結果、患者にとって重大な合併症が起こりうる。一方、糖尿病に代表される耐糖能異常はよくある合併症である。また、周術期は、手術侵襲や術前の絶食・脱水により耐糖能異常が起こりやすい。しかし、低血糖・正常血糖・高血糖とシバリングの閾値温度の関係は現在まで明らかにされていない。実験方法は研究実施計画の通りに行った。まず、ウサギを以下の3群に分け、シバリング閾値温度の比較検討を行った。C群:生食を持続投与し血糖値の調節は行わない。IIT群(強化インスリン療法群):インスリンを持続投与し血糖値を60~100mg/dL以下とする。H群(高血糖群):ブドウ糖を持続投与し血糖値を200~350mg/dLとする。検出力検定の結果、各群は各9羽とした。結果は分散分析とStudent-Newman-Keuls testで統計処理した。シバリング閾値温度は、C群:37.2±0.5℃、IIT群:36.3±1.1℃、H群:38.0±0.6℃と三群間で有意差を認めた。つまり、IIT群ではシバリング閾値温度の低下を認めた。一方、H群ではシバリング閾値温度の上昇を認めた。H群では、グルコース負荷による一過性の高血糖状態がサイトカインの産生を促進させPGE2の産生を促進し体温のセットポイントを上昇させシバリング閾値温度を上昇させたのではないかと推察された。以上の内容を日本麻酔科学会第58回学術集会において報告した。次に、以下の3群において、シバリング閾値温度の比較検討を行うため実験中である。C群:生食を持続投与し血糖値の調節は行わない。IIT群(強化インスリン療法群):インスリンを持続投与し血糖値を75~100mg/dL以下とする。L群(低血糖群):ブドウ糖を持続投与し血糖値を50~75mg/dLとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究実施計画通りにおおむね研究が進み、一度日本麻酔科学会において発表しているので、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、以下の3群において、シバリング閾値温度の比較検討を行うため実験中である。C群:生食を持続投与し血糖値の調節は行わない。IIT群(強化インスリン療法群):インスリンを持続投与し血糖値を75~100mg/dL以下とする。L群(低血糖群):ブドウ糖を持続投与し血糖値を50~75mg/dLとする。 実験終了後、学会において発表の予定の予定である。昨年日本麻酔科学会にて発表した内容は現在論文作成中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に必要な老朽化している設備を新しくする。まず、ウサギを入れるシバリング観察用の箱が破損しているので新しくする。また、ウサギの体温をコントロールするための、直腸内に挿入したカテーテルに温度の異なる水を注入する機器を買い換える予定である。消耗品としては、血糖値調節のための薬品(インスリン、ブドウ糖液)、実験動物(ウサギ)、麻酔を行うための麻酔薬やボンベ類、ウサギを手術するための物品、各種測定に用いるキット類等が研究遂行のため必要で、それに使用する。
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