研究課題/領域番号 |
23791703
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 具治 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10402893)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 麻酔学 / 脳内エリスロポエチン / 低酸素 |
研究概要 |
マウス脳におけるエリスロポエチンは、虚血、低酸素により誘導され、中枢神経の保護作用を有すると考えられている。我々は低酸素環境に暴露したマウス脳を用いて、検討した全ての全身麻酔薬(イソフルラン、セボフルラン、ハロタン、バルビタール、プロポフォール、ケタミン)により、低酸素下でのエリスロポエチン誘導が濃度、時間依存的に抑制されることを見いだした。また初代培養アストロサイトを用いた実験系において、同様に全身麻酔薬がエリスロポエチン誘導を抑制することを示した。これらの結果から、血圧低下や呼吸の変化といった二次的な変化によるものではなく、全身麻酔薬が脳内エリスロポエチンの主たる産生源であるアストロサイトに直接作用していることが強く示唆された。これまで麻酔薬のグリア細胞に対する作用は、ほとんど明らかではなかったが、本研究の結果により、全身麻酔薬がアストロサイトに共通した作用を有することが明らかとなった。また幼若マウスを使用した研究では、イソフルランを暴露することにより、脳内のエリスロポエチン誘導が濃度依存的に抑制されることが示された。麻酔薬による神経発生に対する影響は、近年多数の報告により無視できないものであることが示唆されており、エリスロポエチンの神経発生における重要性を考慮すると、麻酔薬がエリスロポエチン抑制を介して、脳の正常な発達を抑制する可能性があると考えられる。今後はさらに麻酔薬がエリスロポエチンを抑制する詳細な機構を検討することで、さらに麻酔薬がアストロサイトに及ぼす影響を明らかにしうるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初代培養アストロサイトを用いた実験系のうち、初年度に予定していた研究はほぼ完全に施行しえたものと考えられ、当初考えていた神経細胞とアストロサイトとの共培養は必要ないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
麻酔薬がアストロサイトに及ぼす影響をより詳細に検討する予定である。具体的には転写因子であるHIF-2の誘導抑制が予想されるが、これが細胞内の酸素消費の変化によるものか、あるいはMAPKなどの細胞内シグナル伝達を介したものであるのかを検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
分子生物学的試薬、実験要動物の購入に使用する予定である。
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