平成24年度は平成23年度で決定したミダゾラム投与量を用いて、ケタミンを用いる前にまずミダゾラム投与による神経障害度の評価をすべく本実験を開始した。しかし7分虚血群でミダゾラム投与群において組織評価をするまで(虚血後5日間)生存することが困難になるという状況に陥り、再度ミダゾラムの投与量、投与方法についての検討が必要となった。結局ベースとなるイソフルランの投与を行わず、ミダゾラム単独にて投与することで解決し、5分虚血群と7分虚血群において優先して本実験を行った。その結果、ミダゾラム投与によって脱分極のオンセット時間は延長し、その結果5分虚血、7分虚血群においては脱分極時間は有意に短縮した。神経障害度は5分虚血時にはミダゾラム投与群の方が低い傾向にあったが有意差は得られず、7分虚血時にはミダゾラム投与群が有意に低いという結果となった。より長い虚血時間(10分)での神経障害度の評価を行いつつ、虚血中の細胞外グルタミン酸濃度のシステムと確立を行うための準備を行っている段階で今回の退職を迎えたため、平成25年1月をもって科研費の廃止手続きをする次第である。 ここまでの成果、ミダゾラム投与が脱分極のオンセット時間と脱分極時間を短縮させたこと、またより長い虚血時間となったときに神経障害度の軽減させる効果をもち、虚血時間と神経障害度との関係においてはおそらく回帰曲線を右方(神経保護効果を高める方向)に移動させることについては今後学会発表、論文発表をすすめる予定である(現在学会発表採択待ち)。
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