研究概要 |
敗血症患者の予後改善には、腸管粘膜血流などを代表とする微小循環の維持が重要であると言われている。近年、敗血症モデルにおいて舌下粘膜血流が腸管粘膜血流と相関があることが報告され、舌下粘膜血流が腸管粘膜血流の代用モニタリングとなりうる可能性が示唆されている。本研究では、当初ブタ敗血症モデルにおいて各種循環作動薬投与下における舌下および腸管粘膜血流の連動性を明らかにし舌下粘膜血流測定が代用モニタリングとして適切であるかについて検証する予定であった。しかし、粘膜血流を測定するために購入を予定したMicroScan System Package(MicroScan社)が入手困難となったため、研究実施計画を変更せざるを得なくなった。今後はヒト敗血症患者を対象に、腸管粘膜血流の維持、つまり腸管粘膜の保護が予後にどのような影響をあたえるかについての前向き調査を行う。腸管粘膜血流の評価方法としては、腸型脂肪酸結合蛋白(intestinal fatty acid binding protein:I-FABP)を用い、値の推移が予後に影響を与えるかについて調査を行う。また、endotoxin activity assayとI-FABP値との相関および予後への影響についても調査する。(目的)ヒト敗血症患者を対象に、腸管血流に維持が予後に与える影響について調査。(方法・対象)敗血症患者を対象にした前向き研究。ICU入室後のI-FABPとEAA値を継続的に測定し、特にI-FABP値の推移と予後に相関があるのかについて調査を行う。I-FABPとEAAは、入室1, 4,7,14日に測定を行う。前向き観察研究で対象患者への特定の介入は行なわない。 敗血症の予後と消化管障害が関連していることを明らかにすることで、敗血症診療における微小循環維持の重要性が明確となり、新しい治療法の開発に繋がる。
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