研究課題/領域番号 |
23791719
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
名和 由布子 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90586794)
|
キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
GABA受容体β3遺伝子多型解析と静脈麻酔薬における就眠濃度の差異について一定の知見が得られ、平成24年度米国麻酔科学会に出題した。本演題はさらに網羅的遺伝子解析手法を取り入れ、報告予定である。 申請者らは平成24年度プロポフォール血中濃度測定器Perolus 1000(講座内機器)を用いてプロポフォール血中濃度を測定する実験系を確立した。これにより臨床的なプロポフォールの就眠濃度の予測効果部位濃度(TCIシリンジポンプより算出)と実測値との差異を検討した。結果として、就眠濃度はかなり実測値と乖離があることが分かり、手術中の安定期はそれほど差異がないことを確認した。この知見自体は新規ではないものの、得られた就眠濃度の差異と、遺伝的背景の差異と解析することにより静脈麻酔薬の就眠濃度の原因遺伝子の特定は可能であると考えられる。 同時に、当学共用機器であるIon-PGMシーケンサーを用いてGABA受容体関連遺伝子の包括的なシーケンスを行う実験系を確立した。これらの知見より、遺伝子多型とそれに伴う就眠濃度の差異についての知見は新規である。 来年度はBISモニターだけでなく、当講座で所有しているSEDLINEから得られるSEF95と、プロポフォール就眠濃度およびGABA受容体遺伝子関連遺伝子多型についての臨床検体を集積し、知見を発表できるものと考えている。また時間的余裕および予算的余裕が生じれば、他の遺伝子も標的としたエクソーム解析を導入したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体の集積不足が挙げられるものの、GABA受容体β3遺伝子解析は順調に行えている。臨床的なアウトカムが就眠濃度であるため、年齢・背景因子などを統一した患者背景が要求されるため、臨床検体の集積の難易度が増大している。しかし全体的にはおおむね順調と言えるかと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
学内に新規に導入されたIon-PGMシークエンサを用いてGABA受容体関連遺伝子の網羅的解析を行い、さらにプロポフォールの個人差の機序に詳細に迫りたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は主に実験系の確立を行い、大量シーケンスとは違い、予算の消耗が少なかったため予算の繰り越しが可能であった。今年度は分子遺伝学的試薬を中心に購入を予定している。
|