研究課題/領域番号 |
23791720
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
新谷 知久 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80510312)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 敗血症 |
研究概要 |
平成23年度の主目的は,敗血症モデルに対して、敗血症誘発物質が筋弛緩薬の作用性減弱に及ぼす影響を解明することにあった。具体的にはフリーラジカルスカベンジャー(PEG-SOD、PEG-catarase)、テプレノン(HSP誘導薬、フリーラジカル産生を間接的に抑制)、あるいは内因性大麻受容体拮抗薬,抗生物質を手術前投与、および手術後の経時的投与を行い治療群を作製し、筋弛緩薬に対する反応性の変化を抑制できるか否かを検討することであった。この検討はSepsis群、Sham群、および敗血症モデルに対して各種治療を施行しこうした各種治療群のラットから横隔神経つきの横隔膜を摘出し、クレブス液を満たしたチャンバー内で最大上刺激で横隔神経を刺激し、得られた筋収縮力をコンピュター解析することにより行った。この際に筋弛緩薬を加算投与して容量-収縮力曲線を求め、Sepsis群、Sham群、および各種治療群での容量-収縮力曲線の差異を検討し治療効果を判定する予定である.結果はおおむね順調に得られており,Sepsis群,Sham群については完全なデータが得られた.これは,各種治療の有効性を評価する上で重要な基礎データとなる.一方で,各種治療群の作製において,安定したモデルの作製に時間を要しており治療データの解析については今だ途中段階にある.このため,敗血症により惹起される筋弛緩作用性の変化の機序に迫る結論はいまだ検討途中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度までに,敗血症モデルに対して、敗血症誘発物質が筋弛緩薬の作用性減弱に及ぼす影響を解明する計画であったが,現時点では,当初想定していた薬剤のうち,数種類についての研究にとどまっている.実験モデルの作成,実験系の確立は完成していることから今後,速やかに当初予定の実験計画が遂行されると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降の実験計画では,麻酔薬が敗血症時の神経筋伝達能の増強に及ぼす影響を電気生理学的に検討することである.これは,平成23年度実験計画とは独立して実施可能なものであり,また,使用するラット敗血症モデルの作成は平成23年度の実験にてすでに確立しているために,速やかに実施可能な状況にある.平成23年度で未達成な項目も含めて,並行して実施していく予定である.最終的には,敗血症時における各種麻酔薬の安全域を確定し、筋弛緩薬との相互作用の機序を明確にすると同時に、急性期敗血症時の最も有効・安全な麻酔薬と筋弛緩薬の併用療法を確立することが可能と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費は,電気生理学的実験に必須であるマイクロマニピュレーターの購入(約60万円),および,ラット(約3000円×150匹=45万円)を含む消耗品の購入,平成23年度研究成果の発表のための旅費(約5万円)などに使用予定である.平成24年度の電気生理学的実験の遂行に必要なマイクロマニピュレータを平成23年度に購入しなかったため,平成23年度の研究費に残額が生じた.
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